【9月4日 AFP】米カリフォルニア(California)州のヨセミテ国立公園(Yosemite National Park)を訪れた旅行者から致死率の高いハンタウイルス(Hantavirus)の感染が確認され、これまでに判明している感染者6人のうち、3日までに2人の死亡が確認された。

 州保健当局によると、死亡者の1人は州内在住者で、もう1人はペンシルベニア(Pennsylvania)州からの観光客だという。ヨセミテ国立公園側は3日、ウイルス感染が拡大する恐れはないとする見解を発表し、公園の閉鎖は考えていないと語った。

 公園広報のカリ・コブ(Kari Cobb)氏によると、ウイルスはネズミなどのげっ歯類の排せつ物の粒子を吸引することで感染する。極めてまれな病気だが、感染すると治療法はなく3人に1人が死亡するという。ヨセミテでの感染は、同州シエラネバダ(Sierra Nevada)山脈に生息するシカネズミが媒介となっているとみられる。

 コブ氏は「園内を歩いただけでは感染しない。換気とネズミに注意すれば、感染の恐れはない」とし、予防用のマスクも必要ないと話した。

 前週末は3日のレイバーデーで三連休となったが、いくらかキャンセルはあったものの、ヨセミテ公園は通常通りのにぎわいだったという。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)は8月31日、ヨセミテ公園内の宿泊施設エリア「シグネチャー・テント・キャビンズ」に6月10日から8月24日の間に滞在した1万人にウイルスと接触した可能性があると警告している。一方、公園側はこの期間に該当する施設に宿泊した人の数を3000人としている。感染していれば、症状は6週間以内に現れるという。それらの宿泊施設は同国立公園の目玉であるヨセミテ渓谷(Yosemite Valley)の人気エリアにあるが、現在は閉鎖されている。

 米国でのハンタウイルスは初めて感染が確認された1993年以来、これまでにカリフォルニア州で60例、全米では587例の感染が確認されている。(c)AFP/Leila Macor