【7月6日 AFP】ネコのふんで広がるトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)に感染した女性は自殺傾向が高まる――デンマーク女性4万5000人を対象に行ったこのような研究論文が、米精神医学誌「Archives of General Psychiatry」の最新号に掲載された。

 論文の主筆者、米メリーランド大学(University of Maryland)医学部のテオドール・ポストラチェ(Teodor Postolache)氏は、「トキソプラズマが原因で女性たちが自殺に走ると確証を持っては言えないが」としたうえで、「感染とその後の女性の自殺傾向との関連が十分予測できる発見があった」と語った。チームは両者の関連性を裏付ける研究をさらに続けるという。

 世界のおよそ3人に1人がトキソプラズマに感染しているとみられている。トキソプラズマ感染は統合失調症や行動の変化に関連があるとされているが、脳や筋肉細胞内に潜伏している間は何の症状もないことも多い。

 トキソプラズマが宿主とするネコのふん尿の処理、洗浄が不十分な野菜や生肉、不潔な水を摂取した人が感染する恐れがある。

 論文の要約によると、トキソプラズマに感染した女性は感染していない女性と比べて自殺を試みる割合が1.5倍高かった。トキソプラズマ抗体レベルが高いほど、自殺リスクも高まるという。

 精神疾患の既往症がある人とない人では、ない人の方がトキソプラズマ感染と自殺を試みたことの関連性がわずかに高いと推定されたが、その差は顕著なものではなかったという。

 トキソプラズマ感染のリスクについては、米オピニオン誌「Atlantic」が3月にトキソプラズマは人間の感情に影響を与える可能性があるとしたチェコの生物学者ヤロスラフ・フレグル(Jaroslav Flegr)氏の主張を取り上げて注目を集めた。この記事のタイトルは「How Your Cat is Making You Crazy(ネコはいかにあなたを狂わせるか)」というものだった。(c)AFP