伝統の「胎盤食」、高まる需要の陰に闇市場 中国
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【7月2日 AFP】中国では、胎盤(プラセンタ、Placenta)を食べる古来からの健康法が今も受け継がれている。
胎盤の成分には産後うつの予防や母乳増加、さらには滋養強壮の効果があるとして、現在、西欧諸国で注目を集めている。もっとも中国では胎盤の摂取に老化防止効果があるとされ、比較的広く行われてきた習慣である。
出産を終えたばかりのある女性は、胎盤を持ち帰りスープに入れて食べる予定だと話す。「胎盤は冷蔵庫に入れてあるので、母が帰ってきたら調理してもらいます。きれいに洗って煮込めば、生臭ささは取れますよ」と述べ、産後の体調回復にも効果的との考えを明らかにした。
胎盤の持つ健康促進効果については、秦の始皇帝(Qin Shihuang)が約2200年前に初めて明言したと伝えられており、また中国最後の王朝である清の西太后(Dowager empress Cixi)は、若さを維持するため胎盤を摂取していたとされる。
中国国営メディアによると、胎盤食(Placentophagy)に再び注目が集まりだしたのは、ここ10年間のことだという。
南京(Nanjing)市内のある産婦人科では、胎盤を持ち帰る新生児の親は全体の約10%に上るとされ、またネット上ではその調理法についての情報が日々交換されている。健康関連のある人気ウェブサイトでは、スープや肉団子、さらには他の漢方薬と混ぜる方法を提案している。
2005年から臓器売買については禁止されているが、中国の薬局では粉末化した胎盤を詰めた錠剤が合法的に販売されており、不要な胎盤が製薬会社に流れている実態がうかがえる。上海(Shanghai)市内のある薬局はAFPに対し、「こうした薬品が『気』を強くし、血を豊かにする強壮剤」と説明。「売れ行きは非常に良好。仕入れるとすぐ売り切れます」と述べた。
■需要が生む闇市場
胎盤を食べるのは母親だけではない。上海市内のある病院では、新生児の父親が匿名を条件に次のように語った。
「(出産直後)妻と共に病院にいる間に、親族がやって来て胎盤を食べた」
しかし高まる需要は闇市場の活況へとつながり、病院や医療関係者、そして母親自身が胎盤を非合法に売却しているのも現状だ。前年には広州(Guangzhou)市内の病院が、1体あたり20元(約250円)で胎盤を売却していたとして当局の捜索を受けた。関係者は地元紙に対し、看護師らが売却益を朝食代に充てていたと述べている。
国内の他地域では、胎盤はさらに高値で取引されている。済南(Jinan)では1体あたり300元(約3800円)をつけ、地元紙が前年伝えたところでは、大半が病院から供給されたものだという。
韓国関税庁は5月、死亡した新生児の肉を乾燥し粉末にしたものが含まれているとしたカプセル約1万7000錠の密輸を摘発したと発表している。ただこのカプセルについては、実際の原料が人の胎盤であった可能性も専門家により指摘されており、中国の臓器売買が国外にも拡大し始めたとの懸念が示された形だ。
一方で、胎盤食に嫌悪感を露にする人々もいる。息子を出産した後に胎盤を処分することを選んだ上海のある女性会計士は、「健康に良いことは分かっています。ただ人の肉を食べることは気持ちが悪いので、わたしにはできません」と語った。(c)AFP/Bill Savadove
胎盤の成分には産後うつの予防や母乳増加、さらには滋養強壮の効果があるとして、現在、西欧諸国で注目を集めている。もっとも中国では胎盤の摂取に老化防止効果があるとされ、比較的広く行われてきた習慣である。
出産を終えたばかりのある女性は、胎盤を持ち帰りスープに入れて食べる予定だと話す。「胎盤は冷蔵庫に入れてあるので、母が帰ってきたら調理してもらいます。きれいに洗って煮込めば、生臭ささは取れますよ」と述べ、産後の体調回復にも効果的との考えを明らかにした。
胎盤の持つ健康促進効果については、秦の始皇帝(Qin Shihuang)が約2200年前に初めて明言したと伝えられており、また中国最後の王朝である清の西太后(Dowager empress Cixi)は、若さを維持するため胎盤を摂取していたとされる。
中国国営メディアによると、胎盤食(Placentophagy)に再び注目が集まりだしたのは、ここ10年間のことだという。
南京(Nanjing)市内のある産婦人科では、胎盤を持ち帰る新生児の親は全体の約10%に上るとされ、またネット上ではその調理法についての情報が日々交換されている。健康関連のある人気ウェブサイトでは、スープや肉団子、さらには他の漢方薬と混ぜる方法を提案している。
2005年から臓器売買については禁止されているが、中国の薬局では粉末化した胎盤を詰めた錠剤が合法的に販売されており、不要な胎盤が製薬会社に流れている実態がうかがえる。上海(Shanghai)市内のある薬局はAFPに対し、「こうした薬品が『気』を強くし、血を豊かにする強壮剤」と説明。「売れ行きは非常に良好。仕入れるとすぐ売り切れます」と述べた。
■需要が生む闇市場
胎盤を食べるのは母親だけではない。上海市内のある病院では、新生児の父親が匿名を条件に次のように語った。
「(出産直後)妻と共に病院にいる間に、親族がやって来て胎盤を食べた」
しかし高まる需要は闇市場の活況へとつながり、病院や医療関係者、そして母親自身が胎盤を非合法に売却しているのも現状だ。前年には広州(Guangzhou)市内の病院が、1体あたり20元(約250円)で胎盤を売却していたとして当局の捜索を受けた。関係者は地元紙に対し、看護師らが売却益を朝食代に充てていたと述べている。
国内の他地域では、胎盤はさらに高値で取引されている。済南(Jinan)では1体あたり300元(約3800円)をつけ、地元紙が前年伝えたところでは、大半が病院から供給されたものだという。
韓国関税庁は5月、死亡した新生児の肉を乾燥し粉末にしたものが含まれているとしたカプセル約1万7000錠の密輸を摘発したと発表している。ただこのカプセルについては、実際の原料が人の胎盤であった可能性も専門家により指摘されており、中国の臓器売買が国外にも拡大し始めたとの懸念が示された形だ。
一方で、胎盤食に嫌悪感を露にする人々もいる。息子を出産した後に胎盤を処分することを選んだ上海のある女性会計士は、「健康に良いことは分かっています。ただ人の肉を食べることは気持ちが悪いので、わたしにはできません」と語った。(c)AFP/Bill Savadove