「女子割礼」犠牲者に希望与える性器再生手術、フランス
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【6月15日 AFP】西アフリカ・シエラレオネ出身のファティマ・シェリフ(Fatima Sheriff)さん(32)は、4歳のとき、母親に押さえつけられて「女子割礼」を受けた日のことを断片的に覚えている。
「抵抗した記憶があります」と、シェリフさんは背中の傷をAFP記者に見せた。割礼が行われる間、石がごろごろ転がった地面の上で暴れたためにできた傷だ。押さえつけていた手の1つは、ほかならぬ彼女の母親のものだった。
「もし今、同じことを誰かにされたら、そいつを殺してやるわ」(シェリフさん)
シェリフさんは世界に約1億4000万人いるとされる女子割礼(女性器切除、FGM)を受けた女性たちの1人だ。幼少期に外性器の一部または全てを切除するFGMの風習は、性的衝動を低下させ貞淑な女性を作ると信じられ、アフリカや中東を中心に根強く残る。
若く美しいシェリフさんだが、FGMのせいで何年もの間、恥辱感や快感のないセックスに耐えてきた。被害者意識にさいなまれ、自分は女として欠陥があると感じ、完全な性器を持つ女性たちをうらやんできた。
だが1年半前、女性器の再生手術を受けてシェリフさんの人生は変わった。数週間にわたるつらい手術と療養を乗り越えた末、生まれて初めてオーガズムを感じることができたのだ。その瞬間を思い返すといまだに涙があふれるという。
■「性器再生」で女性のアイデンティティー回復、仏医師ら発表
シェリフさんの手術を行ったのは、仏パリ(Paris)のポアシー・サンジェルマン病院(Poissy-Saint Germain Hospital)のピエール・フォルデ(Pierre Foldes)医師だ。フランスでは2004年に性器再生手術が医療保険対象となった。だが、性器再生の技術を持つ医師は、フォルデ氏を含めて仏国内に10人に満たない。
1998年~2009年にフォルデ氏が性器再生手術を執刀した女性は2938人。西アフリカのマリやセネガル、コートジボワールからの患者が主だが、560人はフランス国内で女性器を切除された人たちだった。多くは5歳~9歳でFGMを受けさせられていた。
フォルデ氏と同僚医師らは12日の英医学専門誌ランセット(Lancet)で、性器再生手術の成功事例866件を報告した。これまで執刀した患者の追跡調査に基くこの論文は、女性器再生による長期的な効果を包括的に評価した世界初の研究発表だ。
論文によると患者の女性の3分の1以上は、再生手術前にオーガズムの経験がなかったが、手術後は療法士の助言を受けながら徐々に限定的なオーガズムを得られるようになり、最終的には常に快感を得られるようになった。
研究者らは「性器切除後でもクリトリスの再生は可能」と結論付け、女性器の再生は「確実に女性としての喜びを高め、苦悩を和らげる。また、一度は性器を切除された女性たちのアイデンティティー回復にも役立っている」と指摘している。
■「初めて自分の人生を生きている」
世界保健機関(World Health Organisation、WHO)によると、世界では毎年およそ300万人の少女たちがFGMの犠牲となっている。国際的に批判され禁止されたが、アフリカ西部・東部・北東部や中東諸国で盛んなだけでなく、これらの地域から欧州や北米に移住した人々の間でも行われている。
FGMは心理的な問題に加え、排尿困難や感染症、不妊症、妊娠合併症の原因となるなど女性の健康にも有害だ。
2児の母親でエステティシャンをしながら英語教師となる訓練を受けているシェリフさんは、女性器再生手術を受けたあと、性生活が向上しただけでなく、自分に自信が持てるようになったと話す。自分の経験を積極的に打ち明けられるようになったのはごく最近だが、今は同じ経験をした女性たちを励まし再生手術を受けるよう勧めるブログの立ち上げを計画している。
「(女性器再生手術は)私の人生で一番素晴らしいことだった。初めて自分の人生を生きていると感じているわ。まるで世界を征服したような気分なの」
だが、世界にはまだ多くの女性たちが女性器再生手術を受けられずにいると、フォルデ氏らは論文で警告している。(c)AFP/Mariette le Roux
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