【5月17日 AFP】気管支炎、肺炎、耳の感染症や性感染症などの治療によく用いられる抗生物質「アジスロマイシン」は、心臓病による死亡率を高める可能性があるという研究結果が16日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」で発表された。

 アジスロマイシンは1980年代から世界中で使用されているが、心臓病の深刻なリスクが報告されたのは初めて。他の抗生物質と比べて投与から5日以内に心血管疾患で死亡する確率が2.5倍に上昇することが分かったという。

 米バンダービルト大学(Vanderbilt University)の研究チームは、米南部テネシー(Tennessee)州で1992年から2006年にかけてアジスロマイシンが処方された約34万8000件の記録を、抗生物質を処方されなかった患者や、アジスロマイシンと似た効果を持つが心臓病のリスクがないとされる抗生物質「アモキシシリン」を処方された患者の数百万件の記録と比較した。

 その結果、アジスロマイシンを投与された後に心臓病で死亡した患者数は、アモキシシリンと比べ100万人当たり47人多かった。もともと高い心臓病リスクを抱えていた患者に限ると、その差は100万人当たり245人に広がった。

 死亡率そのものは比較的低いが、研究チームは今回の研究で医師や患者が考慮すべき危険性に関する新たな事実が明らかになったとしている。(c)AFP