【5月9日 AFP】毎年世界で新しく報告されるがん発症例のおよそ6分の1にあたる約200万件、死亡例約150万件が、おおむね予防や治療が可能なウイルスやバクテリア、寄生虫などを原因とする感染症によって引き起こされていたとする国際がん研究機関(International Agency for Research on CancerIARC)の報告が9日、英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」の電子版に発表された。

 184か国で27種類のがんについて調査した結果、2008年に世界で報告されたがんの症例1270万件のうち約190万件は、B型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマウイルス、ヘリコバクターピロリ菌の4つのうちいずれかの感染症に起因する、主に胃、肝臓、子宮頸部のがんだった。

 感染症関連のがんは、オーストラリアとニュージーランドでは新規症例の3.3%だったが、サハラ以南のアフリカでは32.7%に上った。

 女性では感染症関連がんの約半数が子宮頸がんだったのに対し、男性では胃がんと肝がんの合計が80%に上った。また感染症に起因するがんの発症患者の約30%は、50歳未満だったという。

 報告書は、ワクチン接種や安全な注射処置、抗菌剤の使用などといった既存の感染予防策を活用すれば、がんが将来の世界にもたらす負担を大幅に減らせる可能性があると指摘している。(c)AFP