【5月7日 AFP】血中酸素濃度を測定するために使われている低価格でシンプルな機器の使用で、先天性心疾患のある新生児の命を救うことが可能になるとの研究論文が、2日の英医学専門誌ランセット(Lancet)に掲載された。

 先天性の心疾患は、新生児の全死亡例の3~7.5%に及ぶ。だが、特に早期に発見された場合、手術を行うことで生存の可能性を大幅に高めることができる。

 ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary、 University of London)のシャキラ・サンガラティナム(Shakila Thangaratinam)氏率いる医療チームは、パルス酸素濃度計(パルスオキシメータ)に関する既発表の論文を精査した。

 パルス酸素濃度計は、指先や足の親指に装着して動脈中のヘモグロビンの酸素量を調べる機器で、脱酸素化血液に吸収される赤外光と、酸素化血液に吸収される赤色光の差異を比較することで測定を行う。

 医療チームが、13の論文に含まれる新生児23万人分のデータを調べたところ、パルス酸素濃度計により心疾患の76.6%を判定することができた。一方、健康な新生児を心疾患のある新生児と誤って判定する誤検出の割合は、わずか0.14%に留まった。

 医学界ではこれまでにも、新生児へのパルス酸素濃度計の活用について様々な議論が交わされており、一部の専門家はその信頼性が証明されていないと主張している。現時点において、パルス酸素濃度計を通常の検査手段として使用している国は米国のみに留まっている。

 だが今回の研究論文によると、すでに25万人以上の新生児でパルス酸素濃度計がテストされ、またこの数は前回の調査が行われた2009年の時点よりも10万人増えたとし、その信頼性については明白であると主張している。(c)AFP