【4月12日 AFP】歯科でX線検査を定期的に受ける人は、髄膜腫を発症しやすいとの研究結果が、10日の米専門誌「キャンサー(Cancer)」に掲載された。多くの患者にとって、年に1度のX線検査は最適ではないかもしれない。

 米研究チームによると、年1回の咬翼法と呼ばれるX線検査を受けた人は、そうでない人と比べて髄膜腫を発症する確率が1.4~1.9倍高かった。咬翼法とは、上下の歯の間にフィルムの付いた羽をかんで固定した状態で撮影するX線撮影方法のひとつ。

 また、1枚のフィルムに全ての歯の画像を収める方法で口の外側から撮影する、パノレックスと呼ばれるX線撮影を年に1度受けている人は、2.7~3倍の確立でガンを発症した。

 髄膜腫とは脳と脊髄を包む髄膜という膜にできる腫瘍で、ほとんどの場合、良性で進行は遅いが、ときに命の危険をもたらしたり、身体的障害につながることもある。

 現代の歯科治療の患者がさらされる放射線の線量は以前より低くなっている。だが、研究チームを率いた米エール大(Yale University)医学部のエリザベス・クロース(Elizabeth Claus)氏は、この研究結果が、歯科でX線検査を実施する頻度やその理由についての見直しを、歯科医さらには患者に促すだろうと語った。

「研究は、歯科X線検査の最適な使い方について、公衆衛生における関心を高める理想的な機会を提供している。ほかの多くのリスク要因とは異なり、これは修正が可能なのだ」(クロース氏)

 研究チームは、髄膜腫と診断された米国の20~79歳、1433人を対象に調査を実施。対照群として年齢性別などの特徴がよく似た、髄膜腫と診断されていない1350人の資料を参考にした。(c)AFP