抗がん剤、マウスでアルツハイマー病の好転に効果 米研究
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【2月14日 AFP】広く普及している抗がん剤を用いてマウス実験を行ったところ、アルツハイマー病の症状を好転させる効果が認められたとする研究結果が9日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。
アルツハイマー病の特徴として、脳内でアミロイドβ(ベータ)と呼ばれるタンパク質の蓄積がみられるが、ベキサロテン(bexarotene)として知られる抗がん剤を用いてマウスの治療を行ったところ、このタンパク質が凝集したアミロイド斑(プラーク)が数時間のうちに減少し始め、マウスの認知力が急速に回復した。ベキサロテンには、アミロイド斑の分解・除去を助けるアポリポタンパクE(ApoE)の生成を促進する効果があった。
ベキサロテンを使用してから6時間後、その効果は肝臓を通じ、脳内でApoEの生成を促進するレチノイドX受容体の増加となって現れ、可溶性アミロイドβに25%の減少がみられ、最終的には75%まで減少した。効果は3日間、持続した。
また薬剤使用後からすぐにマウスは、記憶力や社会的行動が復活したり、嗅覚能力がよみがえるといったテスト結果を示した。またマウスは通常、ケージの中でティッシュペーパーを与えるとそれで巣を作るが、アルツハイマー病にかかったマウスはこれを忘れてしまったかのように、ティッシュペーパーを見ても何もしない。しかし、ベキサロテンを使用したマウスは72時間後に巣作りも復活させた。
論文の主著者で米ケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)のゲーリー・ランドレス(Gary Landreth)教授(神経科学)は「ごみ処理のようなものだと考えてください。若くて健康な時はほとんどの人はこれ(アミロイド)の分解・除去能力があるが、加齢とともにそれが効果的にできなくなる。それが精神機能の低下や認知障害に関連している」と説明する。
だが、ベキサロテンの効果にはチーム一同、衝撃を受けたという。同教授は「こんなことはいまだかつて一度も見たことがない」と語った。
ベキサロテンを使ったヒトのアルツハイマー病の治験は早ければ3月に始まる予定で、2013年にも早期結果が出せるだろうと同教授は語っている。(c)AFP/Kerry Sheridan
アルツハイマー病の特徴として、脳内でアミロイドβ(ベータ)と呼ばれるタンパク質の蓄積がみられるが、ベキサロテン(bexarotene)として知られる抗がん剤を用いてマウスの治療を行ったところ、このタンパク質が凝集したアミロイド斑(プラーク)が数時間のうちに減少し始め、マウスの認知力が急速に回復した。ベキサロテンには、アミロイド斑の分解・除去を助けるアポリポタンパクE(ApoE)の生成を促進する効果があった。
ベキサロテンを使用してから6時間後、その効果は肝臓を通じ、脳内でApoEの生成を促進するレチノイドX受容体の増加となって現れ、可溶性アミロイドβに25%の減少がみられ、最終的には75%まで減少した。効果は3日間、持続した。
また薬剤使用後からすぐにマウスは、記憶力や社会的行動が復活したり、嗅覚能力がよみがえるといったテスト結果を示した。またマウスは通常、ケージの中でティッシュペーパーを与えるとそれで巣を作るが、アルツハイマー病にかかったマウスはこれを忘れてしまったかのように、ティッシュペーパーを見ても何もしない。しかし、ベキサロテンを使用したマウスは72時間後に巣作りも復活させた。
論文の主著者で米ケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)のゲーリー・ランドレス(Gary Landreth)教授(神経科学)は「ごみ処理のようなものだと考えてください。若くて健康な時はほとんどの人はこれ(アミロイド)の分解・除去能力があるが、加齢とともにそれが効果的にできなくなる。それが精神機能の低下や認知障害に関連している」と説明する。
だが、ベキサロテンの効果にはチーム一同、衝撃を受けたという。同教授は「こんなことはいまだかつて一度も見たことがない」と語った。
ベキサロテンを使ったヒトのアルツハイマー病の治験は早ければ3月に始まる予定で、2013年にも早期結果が出せるだろうと同教授は語っている。(c)AFP/Kerry Sheridan