【2月10日 AFP】フランスで糖尿病患者の減量薬として30年以上も販売されていた「ベンフルオレックス(benfluorex、商品名:Mediator)」に、少なくとも1300件の死亡例との関連が疑われるとの研究結果が9日、医学誌「Pharmacoepidemiology & Drug Safety(薬剤疫学と医薬品安全性)」に発表された。

 研究を主導した仏国立保健医学研究所(INSERM)のマフムード・ズレイク(Mahmoud Zureik)氏はAFPの取材に、Mediatorが市場に出回っていた33年間に3100人が入院したと指摘。実際の被害者数はもっと多い可能性があると語った。

 Mediatorは中性脂肪値を下げる高脂血症治療薬として承認され、糖尿病の血糖値レベルを調整するとの触れ込みで販売された。食欲抑制作用があったため二次的に肥満糖尿病患者の減量剤としても使われ、糖尿病患者以外にも痩身(そうしん)目的で幅広く用いられるようになった。

 だが、心臓弁障害と肺高血圧症を引き起こすことが分かり、欧州では2009年に販売中止となっている。製造元の仏医薬品大手セルヴィエ(Servier)は現在、不正と偽装の疑いで当局の捜査を受けている。

 仏健康保険当局のデータによると、2006年にMediatorを使用していた患者は30万3000人。販売中止までに仏市場のみで計1億4500万箱が販売されたという。

 食欲抑制剤の薬害問題としてはこれより先、1990年後半に肥満治療薬として販売されていたフェンフルラミン(fenfluramine)をめぐるスキャンダルが明るみに出ている。(c)AFP