【1月23日 Relaxnews】妊娠した女性の習慣的な飲酒が胎児の発育に悪影響をおよぼす胎児性アルコール症候群(FAS)の危険性を高めることは知られているが、特に妊娠7週目から12週目の飲酒の危険が大きいとする米大の研究論文が17日、発表された。

 論文を発表したのは米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)のハルナ・サワダ・フェルドマン(Haruna Sawada Feldman)氏率いる研究チーム。研究チームは、妊娠中の女性1000人あまりを30年間かけて調査。その結果、妊娠7週目から12週目までの飲酒と、胎児の体重と身長の発育不全や顔面変形に関連性があることを発見した。これらはFASの兆候とされる症状だ。

 妊婦で1日の飲酒量がグラス1杯増えるごとに、胎児で唇の変形リスクが25%、頭部が小頭となるリスクが12%、出産時の低体重リスクが16%、それぞれ増えたという。

 論文の共同執筆者、米ノースカロライナ大学(University of North Carolina)のフィリップ・メイ(Philip May)氏は「論文は、妊娠7週から12週での飲酒、特に大量の飲酒が、FASの子どもに典型的な顔面風貌の特徴4項目や、出生時の低身長および低体重との関連を明確に示したものだ」と述べた。さらに、女性や胎児ごとにFASのしきい値は異なるため、妊娠中の飲酒に「安全」な量はないと、メイ氏は指摘した。

■最善策は「妊娠したら飲まない」こと

 一方、1週間あたり1~2杯程度の飲酒ならば、妊娠中も胎児の発育に影響はないとした、メイ氏らの研究とは矛盾する結果の研究報告も最近出ている。とはいえ、実際のところ、妊娠中の飲酒には多くの専門家が注意を促している。

 英国の英王立助産学会(Royal College of Midwives)の顧問、ジャネット・ファイル(Janet Fyle)氏も、医療関係者向けの米医療情報サイトWedMDとのインタビューで、次のように指摘している。
「習慣的な飲酒でも少量ならば胎児の発達に影響はないことを示す、確実な証拠はありません。ですから私たちは女性たちに、このようにアドバイスしています。『妊娠するつもりがあるか、あるいは現に妊娠中であれば、飲酒を避けることがベストです』と」

 米ノースカロライナ大の論文は医学誌「Alcoholism: Clinical & Experimental Research」の4月号に掲載される予定。(c)Relaxnews/AFPBB News