【1月17日 AFP】性別選択を目的とした中絶を防止するため、妊娠30週まで胎児の性別の告知を控えるよう医師に提言する論説が、16日のカナダの主要医学誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル(Canadian Medical Association JournalCMAJ)」に掲載された。

 同誌のラジェンドラ・ケール(Rajendra Kale)暫定編集長が執筆したこの論説は、「女性胎児の中絶はインドや中国で数百万人単位で行われているが、北米でも、一部の民族で男女比をゆがめるに十分な規模で行われている」としている。

 カナダの移民コミュニティーにおける性別選択のための中絶件数を把握する研究は少ないが、ケール氏は論説で、すでに娘が1人以上いるインドや中国、朝鮮、ベトナム、フィリピンからの移民の間で、他の民族グループよりも多くの中絶が行われていることを示唆する論文を紹介した。

 CMAJの同じ号には、出産前検査の発達や容易に中絶できるようになったことにより、カナダが「息子を欲しい親たちが女性胎児を中絶するための避難場所」になっていると警告する記事も掲載された。

 ケール氏は、AFPの取材に対し、カナダでは毎年数百件の性別選択のための中絶が行われていると考えていると語った。

 カナダは2004年、胚を特定の性別にする可能性を高めるための行為と、性別に関連した障害や疾病を診断する以外の目的で体外受精卵の性別を確認することを禁止している。ケール氏は、カナダの医療体制をさらに一歩進め、中絶が困難になる妊娠7か月まで胎児の性別を明かすことを禁じる規定を設けるべきだと提言した。(c)AFP/Michel Viatteau