【1月14日 AFP】注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供の症状が治療や薬剤でも改善されない場合、ヘルシーな食事を摂るだけでも効果があるかもしれないとする論文が、9日の米小児科専門誌「ペディアトリクス(Pediatrics)」に発表された。

 過剰行動、不注意、衝動的行動を特徴とするADHDの原因については、遺伝要因や社会的・環境的な影響が指摘されてきたが、詳しいことは分かっていない。糖分と脂肪分の多い食事を摂ると症状が悪化するとした研究もある。

 治療では、賛否両論はあるが、向精神薬「リタリン」が処方されることが多い。

 米シカゴ(Chicago)のノースウエスタン大学医学部(Northwestern University Medical School)のチームは、ADHDの改善方法を探るため、添加物や着色料を抜き糖分を控え目にした食事を摂るファインゴールドダイエットやメガビタミン療法、オメガ3脂肪酸サプリメント療法などの研究に加え、「西洋型」の高脂肪・低繊維食とADHDの関連性を示したこれまでの研究を総合的に評価した。

 近年では、鉄分のサプリメントの摂取や、食事から添加物や着色料を抜く食事療法が大人気だが、評価の結果、科学的根拠はほとんどないことが分かった。

 同様に、小麦、卵、チョコレート、チーズ、ナッツなど、アレルギーの原因となりうる食物を抜いた食事に関しても、効果は限定的で、効果の程度もプラシーボ(偽薬)並だった。

 多くの親が子供の過剰行動の原因と考える二大要素である糖分とダイエット炭酸飲料についても、ADHDとの関連性は証明できていなかった。

 メガビタミン療法に至っては、効果が認められないばかりか、長期的には危険でさえある可能性が浮上した。

 なお、亜鉛と鉄欠乏性貧血との関連性については、さらなる調査が必要とした。

■親と子の教育が最良の補助療法

 論文は、以上の結果を踏まえ、親が子供に魚や野菜や果物、豆、全粒粉が豊富に含まれたヘルシーな食事を与えるよう心がけるだけで、症状改善に役立つ可能性があると指摘した。ただし、対象とした研究では一部で矛盾する証拠が示されていることから、食事療法は代替あるいは二次的なアプローチとして考えるべきだという。

「ADHDの発症傾向がある食材を抜いたヘルシーな食事に関し、親と子を教育することが、ADHDの最も有望で最も実際的な補助療法、あるいは代替療法だと思われる」と、論文は結んでいる。(c)AFP/Kerry Sheridan

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