【12月5日 AFP】スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末のユーザーたちにとって悪いニュースがある――「テキスト・ネック」や「テキスト・サム損傷」といった症状が増えているのだ。

 英国の医療専門家は、小さな画面を長時間眺めたり、小さなキーを打ち続けることによって、体を痛めることもあると警告を発する。しかも、こういった症例は、ハイテク機器の人気が高まるにつれて増えている。

■指や腕に痛み

 英国では、スマートフォンでインターネットを利用する人が増えている。世論調査会社YouGovが9月に実施した調査によると、英国人の44%が1日30分~2時間、通話以外の用途で携帯電話を使っていた。

「スマートフォンの使いすぎで親指がけんしょう炎になった患者を診たが、彼女は痛みのために何週間も手を使えなくなっていた」と、英国カイロプラクティック協会(British Chiropractic AssociationBCA)のティム・ハッチフル(Tim Hutchful)氏は語る。

 公認理学療法士協会(Chartered Society of Physiotherapy)のサミー・マルゴ(Sammy Margo)氏は、「人間の体は、小さすぎるキーのついた小さすぎる電話を使うために作られてはいないんです」と語り、上肢の痛みが原因で音声認識ソフトよる操作に乗り換えた患者もいると話した。

■首にも注意

 専門家たちは、手の損傷だけでなく、小さい画面を長時間前かがみになってのぞき込む姿勢にも問題があると指摘する。

「人間の頭部の平均重量は4.5~5.5キログラム」とハッチフル氏。耳から肩、そして腰、ひざ、足首まで一直線に垂直になるのが「体重が効果的に支えられる」理想的な姿勢だという。

 だが、スクリーンを眺めるために頭部がいつも前かがみになっていると、姿勢の悪さから、頭部が最大で4倍重く感じられ、体全体に負担がかかることになる。

「テキスト・ネック」は、英国の勤労者の50人に1人がかかっている反復運動過多損傷(RSI)の1つだ。筋肉やけん、神経などを損傷する症状で、特に首と上肢に多く、長時間コンピューターやPCのマウス操作をする人がかかりやすい。

■スマートフォンは40分まで?

 RSIはフランスの病気休暇の主な原因になっている。パリ(Paris)の理学療法士で整骨医のエマニュエル・リボアル(Emmanuelle Rivoal)氏は、「1日に5時間以上画面の前で過ごすことが原因で」痛みを訴える患者が最近増えていると語る。

 ハッチフル氏は、スマートフォンを悪者扱いするつもりはないと前置きした上で、スマートフォンの利用時間を40分以内に抑えることを勧めた。(c)AFP/Marie-Pierre Ferey