【9月6日 AFP】心肺停止した患者への心肺蘇生法(CPR)の時間を延ばすことに、生存可能性を上げる効果はないとする研究が、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。救急医療分野で長らく続いてきた議論の1つに、決着がついたことになる。

 救急医療隊員や消防隊員はこれまで、除細動器を準備する間のわずかな時間だけ、CPRを行ってきた。だが一部の専門家は、初期のCPRの実施時間を最大3分まで延ばすことで、心肺停止患者の生存率を高める可能性があると主張してきた。

 研究チームのカナダ・オタワ病院研究所(Ottawa Hospital Research InstituteOHRI)のイアン・スティール(Ian Stiell)医師は「われわれの研究は、初期のCPRの時間を延ばすことに利点がないことを決定的に示している」と語った。

 オタワ大学(University of Ottawa)や蘇生転帰コンソーシアム(Resuscitation Outcomes ConsortiumROC)の研究チームは、米国の患者1万人から得たデータを分析し、救急医療隊員や消防隊員のCPR時間を1分から3分に延ばしても効果が上がるわけではないことを突き止めたという。スティール氏は「念のため、従来どおりの短めの初期CPRの方法を続けるのが良い」と述べた。(c)AFP