【8月5日 AFP】ウガンダの元少年兵たちが抱える心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療において、自分の体験を語ってもらうというセラピーが最も効果的だったとする研究成果が、2日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に掲載された。

 独ビーレフェルト大(Bielefeld University)は、PTSDと診断された12~25歳の元少年兵85人を3つのグループに分け、うち1つのグループには物語療法(ナラティブ・セラピー)を受けてもらった。セラピストの助力の下でこれまでの体験を時系列で詳細に語ってもらい、トラウマの原因となった経験の断片的な記憶を再構築すると共に、その経験に慣れてもらうというものだ。

 別の1グループには元少年兵が勉強の遅れを取り戻し、学校に復帰できるよう学術的に開発された「キャッチアップ・クラス」を受けてもらい、残り1グループには病院で治療を受けるための順番待ちリストに名前を連ねてもらった。

 ナラティブ・セラピーのグループでは、90~120分間のセッションを8回行った後、80%(25人中20人)でPTSDが軽減された。臨床的に有意な改善が見られたのは、キャッチアップグループでは48%、順番待ちグループでは50%にとどまった。

 1年後にPTSDと診断されなくなった確率は、ナラティブ・セラピーのグループで68%、キャッチアップグループで52%、順番待ちグループで54%だった。

 ナラティブ・セラピーは、上の研究で示されたように効果的であるだけでなく、地域のボランティアでも行えるのでコストもかからない。

 ウガンダでは、反政府勢力とウガンダ軍の戦闘が約20年間続いており、中でも反政府勢力「神の抵抗軍(Lord’s Resistance ArmyLRA)」は戦闘要員として多数の子どもを誘拐し、少年兵に仕立て上げている。国連(UN)は、世界各地の戦闘に積極的に参加している少年兵は14か国で25万人に上ると推定している。(c)AFP