「ペットを飼うと健康で幸せに」は本当か?定説を疑問視する米研究
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【8月4日 AFP】ペットを飼っている人たちは一般的に、ペットのいない生活をしている人たちよりも幸せで、健康で、長生きすると言われきた。だが、本当にそうなのだろうか?
米ウェスタンカロライナ大学(Western Carolina University)のハワード・ハーゾグ(Howard Herzog)教授(心理学)は、このほど発表した論文で、「ペットが飼い主に健康と長寿をもたらすかに関する過去の複数の研究は矛盾する結果を残している」と指摘した。
ハーゾグ教授は、「もちろん、ペットと暮らすことがプラスになる人たちもいる」と断ったうえで、「しかし、ペットを飼うことによってより健康になり、幸福度が増し、長生きするという主張を裏付ける証拠は、現時点では不十分だ」と主張。
また、「動物とのふれあいで良い影響を得られるという研究もあるが、一方で、ペットを飼っている人の健康状態や幸福感は他の人と変わらないとの結論を見出したものもあった。中には、ペットを飼っている方が悪かったという結果もある」と語った。
■否定的な結果はメディアに載らない?
ハーゾグ氏は、1980年に発表された「心臓発作の1年後に生存している確率は、ペットを飼っている患者の方が飼っていない人よりも4倍高い」とする研究結果など、ペットの利点を強調する研究が注目を集める一方で、否定的な研究がこれまで無視されてきたと述べる。
「ペットと暮らすことによる健康効果ばかりがメディアで報じられ、ペットが飼い主の心身の健康に何ら影響を与えないとか、悪化させるといった研究結果が脚光を浴びることはほとんどない」(ハーゾグ氏)
2010年に発表された調査では、心臓発作後の1年以内に死亡したり再度発作を起こす確率は、ペットを飼っている人の方が高いとの結果が出た。しかしハーゾグ氏によると、この研究はどのメディアにも取り上げられなかったという。
また、ペットを飼っている高齢者と飼っていない高齢者を比較した研究では、双方の血圧の高さに差はなく、むしろ飼っている人たちの方が太りすぎで運動不足との結果が出たという。
さらにハーゾグ氏は、ペット由来のジアルジア症やサルモネラ菌、ダニ、寄生虫などによって飼い主に健康被害が起きる恐れもあると指摘。米、豪、スウェーデン、フィンランドで行われた大規模な研究でも、ペットが飼い主に身体的・心理的に良い影響を与えるとの証拠はあまり認められなかったと述べている。
■さらなる科学的研究を呼びかけ
自分もペットを飼っているというハーゾグ氏は、ペットを飼うことや、自閉症の子どもたちや精神的疾患を持つ人のためのアニマルセラピーを否定しているのではないと強調。現状では「ペットがヒトの健康や幸福感におよぼす影響は、既成の事実ではなく、裏付けが必要な仮説でしかない」として、科学的な研究をさらに行うべきだとの見解を示した。
ハーゾグ氏の論文は、心理学専門誌「Current Directions in Psychological Science」8月号に掲載されている。(c)AFP
米ウェスタンカロライナ大学(Western Carolina University)のハワード・ハーゾグ(Howard Herzog)教授(心理学)は、このほど発表した論文で、「ペットが飼い主に健康と長寿をもたらすかに関する過去の複数の研究は矛盾する結果を残している」と指摘した。
ハーゾグ教授は、「もちろん、ペットと暮らすことがプラスになる人たちもいる」と断ったうえで、「しかし、ペットを飼うことによってより健康になり、幸福度が増し、長生きするという主張を裏付ける証拠は、現時点では不十分だ」と主張。
また、「動物とのふれあいで良い影響を得られるという研究もあるが、一方で、ペットを飼っている人の健康状態や幸福感は他の人と変わらないとの結論を見出したものもあった。中には、ペットを飼っている方が悪かったという結果もある」と語った。
■否定的な結果はメディアに載らない?
ハーゾグ氏は、1980年に発表された「心臓発作の1年後に生存している確率は、ペットを飼っている患者の方が飼っていない人よりも4倍高い」とする研究結果など、ペットの利点を強調する研究が注目を集める一方で、否定的な研究がこれまで無視されてきたと述べる。
「ペットと暮らすことによる健康効果ばかりがメディアで報じられ、ペットが飼い主の心身の健康に何ら影響を与えないとか、悪化させるといった研究結果が脚光を浴びることはほとんどない」(ハーゾグ氏)
2010年に発表された調査では、心臓発作後の1年以内に死亡したり再度発作を起こす確率は、ペットを飼っている人の方が高いとの結果が出た。しかしハーゾグ氏によると、この研究はどのメディアにも取り上げられなかったという。
また、ペットを飼っている高齢者と飼っていない高齢者を比較した研究では、双方の血圧の高さに差はなく、むしろ飼っている人たちの方が太りすぎで運動不足との結果が出たという。
さらにハーゾグ氏は、ペット由来のジアルジア症やサルモネラ菌、ダニ、寄生虫などによって飼い主に健康被害が起きる恐れもあると指摘。米、豪、スウェーデン、フィンランドで行われた大規模な研究でも、ペットが飼い主に身体的・心理的に良い影響を与えるとの証拠はあまり認められなかったと述べている。
■さらなる科学的研究を呼びかけ
自分もペットを飼っているというハーゾグ氏は、ペットを飼うことや、自閉症の子どもたちや精神的疾患を持つ人のためのアニマルセラピーを否定しているのではないと強調。現状では「ペットがヒトの健康や幸福感におよぼす影響は、既成の事実ではなく、裏付けが必要な仮説でしかない」として、科学的な研究をさらに行うべきだとの見解を示した。
ハーゾグ氏の論文は、心理学専門誌「Current Directions in Psychological Science」8月号に掲載されている。(c)AFP