【7月4日 AFP】携帯電話の使用で脳腫瘍リスクが高まるとする説を受けて英がん研究所(Institute of Cancer Research)が行ったレビューで、携帯電話と脳腫瘍に「関連性があることを示す有力な証拠はない」との結果が示された。ただし、わずかな影響や長期的な影響がある可能性は否定できないという。

 研究チームは、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の国際がん研究機関(International Agency for Research on CancerIARC)が中心となって実施したインターフォン研究(Interphone Study)で、携帯電話の電磁波に脳腫瘍リスクを高める恐れがあるとの結論が出たことを受け、国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)が発足させた。

 アンソニー・スワードロー(Anthony Swerdlow)教授率いる研究チームは、インターフォン研究は「包括的」だが、研究の設計に幾つか問題点があり、そのために断定的な結論を導き出すのが困難になっていると指摘。また、同研究や他の疫学的、生物学的、動物学的な複数の研究と脳腫瘍の発生率を検証した結果、「携帯電話を初めて使用してから10~15年以内の大人においては、脳腫瘍リスクが実質的に増加する可能性はないとみられる」と結論付けた。

 さらに、動物が電磁波の影響を受けている様子がみられないのに、ヒトにおいては携帯電話によってがん発症リスクが高まるとされる点について、インターフォン研究は生物学的な説明を付けられていないとも指摘した。

 その一方で研究チームは、携帯電話による悪影響が無いとの証明はできなかったとして、今後数年間は不確定要素が残るともコメント。「わずかな影響や、長期的な影響がある可能性を否定できない」として、今後数年かけてがん発症率を分析することで、携帯電話の影響が解明されることに期待している。(c)AFP

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