【6月11日 AFP】世界人口のおよそ15%の人びとが心身に障がいがあり、世界の高齢化が進むにつれてこの割合が増加する見通しであるとの報告書を、世界保健機関(WHO)と世界銀行(World Bank)が9日、発表した。

 WHOが1970年代に発表した報告書では、心身に障がいを抱える人は全人口の10%ほどだった。

 だが、WHO・世銀が発表した「障がいについての世界報告書(World Report on Disability)」の2010年の統計では、「およそ10億人、世界人口の15%が、なんらかの障がい」を抱えて生活を送っていた。また、障がい者のうち5人に1人、約2億人が、重度の障がいを抱えていた。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、「高齢者人口の増加、高齢者における障がいのリスクの高さ、そして糖尿病などの慢性病や心疾患、がん、精神疾患が世界的に増加傾向にあることを考慮すると、障がい者は今後も増えることが予測される」と述べた。

 障がいのある人びとの生活を向上しようという取り組みは、一部の国で成果を上げている。だが、必要とされる対策の多くはまだ実施されていない。特に、必要な医療を受けられないリスクが、障がい者は3倍高い。さらに、障がい者は雇用や学校教育などで排除されることも多い。

 WHOの暴力・トラウマ・障がい防止部門ディレクターのエティエンヌ・クリュグ(Etienne Krug)氏は「障がいのある人びとを隔離するのではなく、進学や就職できるようにしなければならない」と語り、各国政府の対策の強化を訴えた。(c)AFP