【6月2日 AFP】蚊(か)を寄せ付けない「におい分子」を特定したと、米カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California at Riverside)などの研究チームが1日、発表した。革新的で安価な防虫剤の開発につながる可能性があり、マラリア予防研究においては近年になく画期的な発見だ。

 現在、一般的な防虫剤として用いられる化学成分は「ディート(DEET)」だが、マラリアに苦しむ熱帯地方の貧困国にとっては高価な点や、何回も塗布する必要があること、蚊が耐性を持ち始めているなどの欠点があった。

 研究チームは、一般的に実験で使用されるミバエの研究をもとに、メスが病気を媒介する3種の蚊(ハマダラカ、ネッタイシマカ、ネッタイイエカ)を分析し、口の近くにあるアンテナ状の二酸化炭素(CO2)受容細胞をかく乱する「におい分子」を特定。次に、小屋の中にCO2とこの「におい分子」を噴霧する小規模な実験をケニアで行って、「におい分子」に蚊をはねつける効果があることを確認した。

 ハエの受容細胞は、CO2を感知すると脳に信号を送る。蚊はこの信号をもとにCO2の発生源めがけて飛翔し、食事(血)にありつく。この時、熱センサーと目も使っていると考えられる。

 今回の結果について米国立衛生研究所(National Institutes of Health)のマーク・ストップファー(Mark Stopfer)氏は、「蚊に対する有望な防御策が目の前に開けた」と述べながらも、「蚊は人間の汗や皮膚のにおいにも引き寄せられる。また、開発された化学物質の人体への安全性テストは一度も行われていない」と注意を促している。(c)AFP