【5月25日 AFP】美術館やコンサートに行く人や、絵を描いたり楽器を弾いたりする人は、学歴や貧富の差に関係なく、人生に対する満足度が高い傾向があるとする論文が24日、英国医師会(British Medical AssociationBMA)発行の専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に発表された。

 ノルウェー工科自然科学大学(Norwegian University of Science and Technology)による研究は、同国ノル トロンデラグ(Nord-Trondelag)に住む成人5万797人を対象に行った聞き取り調査結果を分析したもの。

 調査では、余暇の過ごし方、健康状態、人生に対する満足度、うつや不安の度合いについて、詳細に回答してもらった。

 すると、文化活動と幸福感に強い関連性が見られただけでなく、その内容に男女差があるという興味深い結果が明らかになった。

 男性では、音楽や絵画鑑賞などの受動的な活動が、明るい気分や良好な健康状態と結びついていた。これに対し、女性では楽器を弾く、絵を描くといった能動的な活動が、不安感やうつ、体調不良を遠ざけている傾向があった。

 総じて、男性は自分が「観客」の立場でいる方が気分が良いが、女性は観客よりも「プレーヤー」でいることを好む事実が明らかにされた。

 この関連性については、さらに学歴や貧富の差が関係ないことも分かった。

 こうした結果から、論文は「文化活動への参加は、ほかの要因とは独立して、良好な健康、うつのない精神状態、男女それぞれの生活満足感に関連しているようだ」と考察。「健康増進と健康管理において、文化活動の適用が妥当であることが証明されるだろう」と結論付けている。

 それでも、ニワトリが先か卵が先かといった、因果関係の疑問は残る。果たして、人間は文化活動に参加するから健康で幸せになれるのだろうか。それとも、文化活動に参加したいと思うような人たちが、そもそも健康で幸せということなのだろうか?(c)AFP