【5月24日 AFP】アミノ酸の一種「Lアルギニン」と抗酸化ビタミンを含む栄養補助食品(サプリメント)は、妊娠中の女性の妊娠高血圧症候群の病型の1つ「妊娠高血圧腎症」を予防する効果があるとの研究が、20日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」(電子版)に掲載された。

 妊娠高血圧腎症は、異常な高血圧やタンパク尿、足や足首のむくみなどを起こす症状。初めて妊娠する女性の5%がかかるが、原因はわかっていない。生命に危険もあるこの症状を緩和するための唯一の方法は、出産だ。

 研究を率いたのはメキシコ国立自治大学(UNAM)のフェリペ・バディージョオルテゴ(Felipe Vadillo-Ortego)教授。研究チームは、Lアルギニンと抗酸化物質が予防に効果的かどうかを確かめる実験を行った。

 研究チームは、メキシコ市(Mexico City)に住む、妊娠高血圧腎症の危険性の高い妊婦750人を集め、無作為に3つのグループに分けた。妊娠20週ごろから出産まで、第1グループにはLアルギニンと抗酸化ビタミンが含まれたサプリメント、第2グループにはビタミンのみが含まれたサプリメント、第3グループにはいずれも含まれていないサプリメント(偽薬)をそれぞれ与えた。

 結果、偽薬を与えた第3グループでは、30.2%が妊娠高血圧腎症を発症した。ビタミンだけの第2グループでは22.5%が発症し、Lアルギニンと抗酸化ビタミンを含むサプリメントを摂取した第1グループの発症率は12.7%だった。

 また早産の割合も、第1グループは、第3グループと比べて大幅に低かったという。

「この比較的簡単で低価格な治療で、妊娠高血圧腎症の発症やそれに関連した早産の危険性を減らすことができる」と、研究チームは結論付けた。

 この研究結果に再現性があるのかどうかについては、さらに研究が必要とされている。(c)AFP