【3月22日 AFP】米ボストン(Boston)の病院で前週、同国初の全顔面移植術が行われ、無事終了した。

 手術を受けたのはテキサス(Texas)州在住のダラス・ウィーンズ(Dallas Wiens)さん(25)。2008年11月、移動クレーンで作業中に頭が高圧線に触れ、やけどで文字通り顔面を失った。

 手術を行ったブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)は21日、記者会見で手術の成功を報告した。執刀医のボーダン・ポマハック医師によると、移植術で視力を回復させることはできなかったが、ウィーンズさんはその他の点では回復過程にあり、携帯電話で話すなどしていると言う。

■30人、15時間の大手術

 手術は医師、看護師、麻酔専門医など総勢30人のチームによって15時間以上をかけて行われ、ウィーンズさんの「鼻、口、顔面の皮膚、顔面を動かす筋肉、それらに感覚を与える神経」すべてがドナーから提供されたものに置き換えられた。手術費30万ドル(約2430万円)は重傷を負った軍要員に対する支援の研究の一環として、米国防総省が負担する。

 ウィーンズさんの祖父デル・ピーターソンさんは「けがの後、ダラスはいつも自分には選択肢があると言っていた。ただ悲痛な思いで過ごすか、状況を改善するかと。彼の選択は改善するほうだった。それがうまくいった」と喜びをあらわにした。

■予後も順調

 今回の手術は過去4年間で同病院が行った顔面移植術として2度目。前回はボストンの地下鉄で電流の通ったレールに落下し、顔のほとんどに重いやけどを負ったジェームズ・マキ(James Maki)さんに行ったが部分移植だった。このマキさんの術後の経過は良好で、ダラスさんの場合も予後は順調だろうとポマハック医師は語った。(c)AFP

【動画】手術に備えるウィーンズさん(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)