【2月22日 AFP】インクジェット印刷技術を使って立体的な皮膚を作る研究が行われている。将来、やけどの患者への皮膚移植に応用できるかもしれない。
 
 ワシントンD.C.(Washington DC)で開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の会合で20日、米コーネル大(Cornell University)のホッド・リプソン(Hod Lipson)氏は、3Dの「バイオプリンター」で移植組織を作る仕組みについて説明した。

 原理は、インクジェットプリンターとほぼ同じだ。患者から採取した細胞を培養し、これをインク代わりにして、プラスチック上に一層ずつ「印刷」して目的の移植組織を作成する。作成に要する時間は2~3時間だという。3Dバイオプリンターを使った30分間のデモンストレーションでは、実験用の「耳」が作成された。

 リプソン氏によると、この移植組織は患者本人の細胞から作るため、拒絶反応を避けられる可能性がある。動物実験の結果、この技術を使って移植用の軟骨組織を作成できる可能性が示されたという。軟骨は構造が比較的単純な上、印刷に耐えうる強度があるため、この方法に適している。

■皮膚の「印刷」、マウスでは可能

 同じ会合で、米ウェイクフォレスト大(Wake Forest University)のジェイムス・ヨー(James Yoo)氏は、やけどで失われた皮膚をインクジェット印刷技術を使って再生するマウスとブタを使った実験でよい結果が得られたと発表した。

 この場合、スキャナーが患部の範囲や深さを測定し、何層の印刷が必要かといった情報をバイオプリンターに渡す。次に、細胞を印刷して皮膚を作るわけだが、患部に直接印刷する方法と、印刷技術を使って作成した皮膚を移植する方法がある。

 将来的には、戦場で負傷した兵士が傷口に装置をかざして、自分の細胞から作った組織を皮膚が失われた場所に「印刷」するようになるかもしれない。

 もっともリプソン氏もヨー氏も、この技術はまだ初期段階だと強調した。ヒトへの応用には、移植組織を血管に結合して血液や酸素を供給されるようにする必要があり、さらなる研究が必要という。(c)AFP


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