【1月11日 AFP】過去最悪となる口蹄疫感染の拡大が続く韓国で、忠清南道(South Chungcheong Province)政府は10日、家畜の大量殺処分を担当した人々への精神ケアを提供する計画を明らかにした。

 忠清南道では牛や豚など9万頭あまりが殺処分され、保健当局職員や兵士、警察官、農業従事者ら、多くの人々が処分に携わった。道政府当局者によると、こうした人びとが不眠症や恐怖感、幻聴、食欲不振などの症状に苦しんでいるとの報告が多く寄せられているという。

 農林水産食品省によると、口蹄疫の拡大が衰える気配はなく、豚、牛、その他の有蹄類(ゆうているい)など、これまでに殺処分された家畜は、処分予定の家畜も含めて、韓国全土で130万頭にのぼる。

 さらに、10日にも新たな感染が4例見つかり、前年11月29日からの感染確認例は計112例となった。このため11月以降、韓国で飼育されている牛と豚の頭数は7%減少している。

 さらに、麻酔剤が不足していることから、生き埋めで処分される家畜も出ている。テレビのニュースでも、数百頭のブタが溝に落ちていく様子が放映された。

 忠清南道の政府当局者によると、こうした処分に関わった経験がトラウマとなり、1か月ほど経過してから精神症状が現れるという。このため、こうした人びとへの精神ケアが必要との結論に至った。治療費は全て政府が負担する方針だ。

 前年1月と4月の口蹄疫発生時には、対策に2500億ウォン(約185億円)が費やされ、家畜5万頭が殺処分された。

 今回の口蹄疫問題では、兵士6万8000人が出動し殺処分に協力しているが、新たに鳥インフルエンザが発生し感染が拡大しており、保健当局者らは対応に追われている。

 一方、韓国政府は10日、ソウル(Seoul)南方80キロの安城(Anseong)にあるカモ飼育施設で、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)8例が検出されたことを確認した。鳥インフルエンザ感染の確認は2年ぶりで、今回の感染1例目は、前年12月31日に確認されている。(c)AFP