【1月7日 AFP】戦後に生まれた米国のベビーブーマーたちが、ことしから、メディケア(高齢者医療保険)の受給資格対象となる65歳を迎える。

 ベビーブーマーは、1946~1964年の間に生まれた世代を指す。全米退職者協会(American Association of Retired PersonsAARP)によると、2011年に65歳を迎える米国人は8秒に1人の計算で、メディケアの受給者は1日約7000人、年間で250万人ほど増えるとみられる。この世代が、1965年から運用が開始された「メディケア」の財政を圧迫させるのではないかとの懸念が持ち上がっているのだ。

 2008年の受給者は4520万人だったが、20年以内に7000万人に増える見通しで、支出は2009年の対GDP比3.6%から、2030年には6.4%にふくれあがるとみられる。

 医療費の増加がインフレを上回っていることなどから、ベビーブーマー世代に支えられてきたメディケアは、ベビーブーマーたちが生きている間にも破綻してしまうのではないかと危ぐする向きもある。

 AARPのジョン・ローサー(John Rother)氏は、「65歳になった途端に皆がサービスを必要とするわけではない。ほとんどは70代半ばや80代に入ってから、高額な医療サービスの世話になる」と述べ、「調整をする時間はまだ残されている」との見解を示した。

 メディケアの沈没を防ぐため、受給資格年齢を上げる案もあるが、これについてローサー氏は、「誰の財布から出すかということだけの違い」と一蹴(いっしゅう)。ロサンゼルスのバズ・エグザミナー紙コメンテーターのジョン・カーティス(John Curtis)氏も、「何の解決にもならない」と同意する。

 カーティス氏は、資産調査をして受給資格を決定すべきだと提案。退職年金が25万ドル以上の者に政府が医療費を支援する必要はないと主張する。

 しかし、ブッシュ減税が延長されたことをとっても、そのような政策の実現は難しいだろう。(c)AFP/Karin Zeitvogel