【12月1日 AFP】ダイエットをして短期間で大幅に減量した人はリバウンドで体重が戻ることがあるが、その理由の1つは、ダイエットによってストレスに対する脳の反応の仕方が変わったためとする論文が、30日の米科学誌ニューロサイエンス(Journal of Neuroscience)に発表された。

 米ペンシルベニア大(University of Pennsylvania)の研究チームは、摂取カロリーを制限し、しっぽからぶら下げるというストレスを与えたマウスの行動とホルモンレベルを調べた。

 3週間後、マウスの体重は人間がダイエットをした場合と同様に10~15%減少した。「食事制限」を解除されたマウスは、摂取カロリーを制限せず同様のストレスを与えられた対照群のマウスより多くの高脂肪食品を食べた。

 ダイエットをしたマウスではストレスホルモンのコルチコステロンが増加し、しっぽからぶら下げられたたまま動かない時間が対照群のマウスよりも長いなど、うつ病に似た行動が観察された。

■ダイエット中のストレスで遺伝子が変化?

 さらに、ダイエットをしたマウスでは、ストレスと食事パターンの制御に重要な役割を果たすいくつかの遺伝子が変化していた。

 これまでの研究で、DNAの形と構造が経験により変わりうることがわかっている。後天的な遺伝子発現制御と呼ばれるものだ。

 ダイエットをしたマウスが、好きなだけ食べることを許され通常の体重に戻ったあとも、こうした変化は残ったと研究チームは考えている。

 研究者は、「ダイエットがもたらすストレスは、減量の成功を困難にするだけでなく、将来受けるストレスや食欲に対する脳の反応を『再プログラミング』している可能性がある」と話している。

 ある専門家は、リバウンドのないダイエットを達成するためのカギは、ダイエット中のストレス管理にあるのではないかと指摘している。(c)AFP