【11月25日 AFP】世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は22日、世界では年間1億人以上が病気や高額な医療費のため貧困に陥っていると指摘し、「すべての国が国民皆保険の導入を目指すべきだ」と進言した。

 独ベルリン(Berlin)でWHO年次報告書を発表したチャン事務局長は、「今年の報告書では、より多くの人にヘルスケアが行き届き、健康のために人びとが経済的破たんを起こすリスクをなくす政策を採用するよう、世界のすべての国に提言している」と述べた。

 保険医療制度とその財源について特に焦点をあてた今年の年次報告書は、不況、疾患のグローバル化、社会の高齢化とそれによる慢性疾患治療などを背景に、国民皆保険制度の必要性が「これまでになく高まっている」点を強調している。

 WHO加盟192か国・地域は2005年以来、すべての人が医療サービスへアクセスできること、また医療サービスを受けたことで困窮状態に陥らないことを掲げているが「世界はどちらの点でも、国民皆保険からほど遠い」(報告書)。

 世界で年間1億人が医療のために困窮状態に陥る一方で、財源を蓄積し、社会で広く医療費を負担することで保険制度が成功している地域・国として欧州、日本、チリ、メキシコ、ルワンダ、タイの名が挙げられた。(c)AFP