【11月10日 AFP】2か国語以上をしゃべる人は、アルツハイマー病の発症が5年ほど遅くなる可能性があるとする研究結果が、9日の医学誌「Neurology(神経学)」に発表された。

 カナダのベイクレスト老人医療センター(Baycrest Center for Geriatric Care)附属ロットマン研究所(Rotman Research Institute)の研究チームは、アルツハイマー病患者211人のカルテを調べ、長年にわたり日常的に2か国語以上をしゃべっている患者では発症が5年ほど遅れていることを発見した。

 患者の脳には言語能力に関係なくアルツハイマー病による劣化が見られたが、バイリンガル能力は記憶喪失、混乱、問題解決や計画立案の困難といった諸症状を遅らせていたと思われる。

 研究主任のファーガス・クライク(Fergus Craik)氏は、「バイリンガル能力は、アルツハイマー病などの認知症を防げるわけではないが、脳内の認知的予備力に働きかけて比較的長い間発症を遅らせているかもしれない」と話している。
 
 なお、カナダのヨーク大(York University)は2007年、バイリンガルの認知症患者は1言語しか話さない患者に比べて発症が遅いとする研究結果を発表している。(c)AFP