【10月21日 AFP】アルコール依存症を防いでくれる可能性のある遺伝子変異を見つけたとする論文が19日、医学誌「Alcoholism: Clinical and Experimental Research(アルコール依存症:臨床・実験研究)」電子版に掲載された。予防治療への活用が期待できるとしている。

 米ノースカロライナ大(University of North Carolina)の研究チームは、アルコール依存症の遺伝特性を探るべく、両親のいずれかがアルコール依存症だという大学生の兄弟数百組を対象に実験を行った。

 グラス3杯に相当するアルコールのソーダ割りを飲んでもらい、その後の気分を「酔っている」「酔っていない」「眠い」「眠くない」から該当するものを選んでもらった。 

 遺伝子の連鎖解析および関連解析を行い、アルコールへの反応の仕方に影響を及ぼしていると思われる遺伝子領域を特定。CYP2E1と呼ばれる遺伝子変異がかかわっていることがわかった。

 CYP2E1を持っている人の10~20%は、持っていない人よりも、グラス数杯での感覚的な酔いの度合いは高かった。

 CYP2E1は肝臓ではなく脳内にある。アルコールを代謝する酵素を持ち、フリーラジカルと呼ばれる分子を生成することで知られている。

 CYP2E1を誘導する薬が開発されれば、アルコールに一層敏感になることにより、飲み過ぎが抑制される可能性がある。(c)AFP