【10月13日 AFP】ヘロインや鎮痛剤などのオピオイド依存症患者は、薬剤のブプレノルフィンを徐々に注入するポンプを皮下に埋め込むことで、依存から脱することができるとする論文が、12日の米医学誌「米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)」に発表された。

 米カリフォルニア大ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)の研究チームは、2007年4月~08年6月に、オピオイド依存症と診断された国内18都市の成人163人を対象に実験を行った。うち108人にはブプレノルフィンを注入するポンプを、55人にはプラシーボ(偽薬)を注入するポンプを、利き腕ではない方の内腕の皮下に埋め込んだ。それぞれ、6か月間で計80ミリグラムを注入した。

 この期間中に毎日薬物検査を行ったが、陰性の結果が出た期間は、ブプレノルフィンを注入したグループで平均40.4%、プラシーボを注入したグループで平均28.3%だった。また、6か月間にわたり調査に参加した割合は、前者では65.7%、後者では30.9%だった。ブプレノルフィンを注入したグループの方が離脱症状が軽かったということになる。

 ブプレノルフィンを使った治療法はこれまで、錠剤として舌下吸収により投与する方法が試みられてきたが、患者が指示通りに服用しないという問題があった。

 JAMAの同じ号には、この結果が確認されれば「1960年代のメタドン維持療法が皮切りとなったオピオイド依存症の治療における重要な進歩となるだろう」という米エール大(Yale University)医学部のパトリック・オコナー(Patrick O'Connor)氏の解説が掲載された。(c)AFP