【10月13日 AFP】ドイツのベルリン(Berlin)で10日から13日まで、世界各国の公衆衛生専門家ら1000人あまりが地球レベルでの健康問題について話し合う第2回世界保健サミット(World Health Summit)が開かれた。東京やムンバイ(Mumbai)、ニューヨーク(New York)など人口が1000万人を超える巨大都市が抱える健康や安全・衛生の問題が大きなテーマになった。

 巨大都市の数は2007年の調査では19都市だったが、米ニューヨーク大学(New York University)のビクター・ロドウィン(Victor Rodwin)氏は、2020年までに27都市に増加し、その多くがアジア、南米、アフリカに集中すると予測する。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)のフランシスコ・アルマダ・ペレス(Francisco Armada Perez)氏も、2025年には地球上の25人に1人が巨大都市に住むようになると考えている。

■都市特有の健康問題

 エイズ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)などの疾病は巨大都市、特に都市人口の3分の1が密集するスラム街では野火のような勢いで拡大するおそれがあるなど、巨大都市ではそうでない場所と比べて健康問題が激化する傾向がある。

 不衛生な環境に人びとが密集して暮らしていることため、結核の温床になりやすいのも巨大都市特有の問題だ。ロドウィン氏は都市における健康の問題は、ひとつの新たな研究分野になっていると述べた。

 事故も大きな問題だ。インドでは交通事故の死者は1日あたり約300人に上っている。「毎日ジャンボジェット機が墜落しているようなものなのに話題にもならない」と、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のリッキー・バーデット(Ricky Burdett)氏は関心の低さを嘆く。

 一方、世界で排出されるCO2の75%は都市部から出ていることから、都市のエネルギー消費を少し改善するだけで気候変動に大きな好影響となることも指摘された。

 巨大都市における健康問題は先進国と途上国の別なく発生している。フランスの公衆衛生研究機関に務めるアルフレッド・スピラ(Alfred Spira)氏は「パリ(Paris)やロンドン(London)の貧困地域を歩いてみるといい。ムンバイやナイジェリアのラゴス(Lagos)と同じ健康問題があることに気付くはずだ」と言う。スピラ氏によると、ロンドンを東西に走る地下鉄ジュビリー線(Jubilee Line)を東に向かって1駅進むたびに駅周辺の平均寿命が1年ずつ下がるという。(c)AFP/Richard Carter

【参考】世界保健サミット公式サイト(英語)