【10月12日 AFP】夜間に光に当たり過ぎると体重増加につながる可能性があるとの論文が、11日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 米オハイオ州立大(Ohio State University)の研究チームはマウスを使った実験を行った。3グループに分け、24時間明るい部屋、16時間明るく8時間暗い部屋(通常の昼夜のサイクル)、16時間明るく8時間薄明かりにする部屋のいずれかに置いた。実験期間は8週間だった。

 その結果、夜間薄明かりの環境下に置かれたグループの体重は、通常の昼夜のサイクルに置かれたグループに比べて、1週目から著しく増加し、その傾向は実験期間を通じて変わらなかった。

 このグループの実験終了時の平均体重増加率は約12グラムと、通常の昼夜のサイクルに置かれたグループ(実験終了時に平均8グラム増)より約50%も多かった。

 なお、24時間明るい環境下に置かれたグループの体重増加率も、通常のサイクルに置かれたグループよりは多かった。しかし論文の共著者のランディ・ネルソン(Randy Nelson)氏は、夜間薄明かりの環境の方が人間生活に近いため、大きな意味を持っていると指摘する。

■「食べるタイミング」が重要

 夜間薄明かりの環境下に置かれたグループでは、食べた餌の量はほかのグループと変わらなかったが、食べるタイミングが変化した。夜間に食べる頻度が増えたのだ。

 食べるタイミングが体重増加に大きくかかわっていると考えられることから、研究チームはさらに「活動する時間帯に餌を与える」グループと「休息する時間帯に餌を与える」グループに分けて実験を行った。

 その結果、夜間薄明かりの環境下に置かれ、活動する時間帯に餌を与えられたグループの体重増加率は、その他の「活動する時間帯に餌を与えられた」グループとさほど変わらなかった。

 このことは、食事をいつとるかが体重の増加に大きく影響することの証拠だと、論文の主執筆者、ローラ・フォンケン(Laura Fonken)氏は指摘する。

■夜間の活動で食べるタイミングが変化

 ネルソン氏は、今回の発見は西洋社会にまん延する肥満の原因を探る上で重要な手掛かりになると指摘する。

「夜間の光は1つの環境要因として肥満のまん延を後押ししている可能性がある。社会全体の肥満傾向は、夜に当たる光の量などさまざまな要因と関連している」

 これまでの研究では、コンピューターの使用とテレビ視聴の時間が長くなることと肥満とは関連があるとされてきた。原因としては運動不足に関連付けられることが常だったが、ネルソン氏は、「夜間にコンピューターを頻繁に使う人、夜間にテレビを長時間みる人は、誤った時間帯に食事をして代謝作用を混乱させている可能性がある」と話す。

 さらに、摂取カロリーと運動量のバランスがとれているにもかかわらず体重が増える人については、こうした環境要因で説明できる可能性があると指摘した。(c)AFP