世界初の体外受精児も祝福、ノーベル医学生理学賞のエドワーズ博士
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【10月6日 AFP】2010年のノーベル医学生理学賞は、世界初の体外受精児を誕生させた英国のロバート・エドワーズ(Robert Edwards)博士(85)に授与されることが決まった。
博士の受賞に大喜びしている人の中に、博士によって「世界初の体外受精児」となったルイーズ・ブラウン(Louise Brown)さんがいる。
ルイーズさんは母親のレスリー(Lesley Brown)さんとともに、「受賞は素晴らしいニュース。私たち親子は、体外受精の先駆者としての功績が認められたことをとても喜んでいます。ボブ(エドワーズ博士)と彼の家族にお祝いを申し上げます」と喜びを語っている。
ルイーズさんは1978年、体外受精を研究していたエドワーズ博士とパトリック・ステプトー(Patrick Steptoe)氏(1988年に死去)の手によって世界初の体外受精児として誕生した。ルイーズさんは現在32歳。自然妊娠で1児の母になっている。
エドワーズ博士は高齢のためインタビューに応じることができないが、代わりに報道陣に対応した夫人のルース(Ruth Edwards)さんは、受賞の栄誉に家族はみな「興奮し喜んでいる」と語った。また、博士の研究の成功は世界中の数百万人の生命に影響を与えたと述べ、各方面から批判されながらも、決意をもって粘り強く研究を続けたことが、体外受精研究の開拓者としての成功につながったとの感想を語った。
■痛烈な批判を超えて
体外で精子と受精させた卵子を再び子宮に戻すというエドワーズ博士とステプトー氏の体外受精研究は痛烈な批判にさらされてきた。批判の先頭に立ったのがローマ・カトリック教会だ。
伊ANSA通信によると、バチカン法王庁の生命アカデミー(Pontifical Academy for Life)のイグナシオ・カラスコ・デ・パウラ(Ignacio Carrasco de Paula)委員長は4日、エドワーズ博士のノーベル賞受賞を「全く理にかなわない判断だ」と評し、不快感を示した。
その一方で、当然ながらエドワーズ博士のもとには、科学界や元同僚など英国全土からあふれんばかりの祝福の声が寄せられている。
博士がケンブリッジ(Cambridge)近郊に設立したボーンホール(Bourn Hall)体外受精クリニックのチーフエグゼクティブ、マイク・マクナミー(Mike Macnamee)氏は、博士を「最も偉大な科学者の1人」と賞賛。「60年代初頭から博士が取り組んできた示唆に富んだ研究が飛躍的進歩をもたらし、数百万人の人生をより良いものにした」と語った。
■幹細胞研究や遺伝子診断にも貢献
エドワーズ博士が助けたのは不妊に悩む人々だけではない。博士の研究は科学技術研究のさまざまな分野にも貢献している。
英不妊治療医協会(British Fertility Society)のトニー・ラザフォード(Tony Rutherford)会長は、博士の対外受精研究を「ルイーズさんを誕生させた後も、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や着床前遺伝子診断(PGD)など革新的な生殖医療にも大きく貢献した」と評価する。博士の受賞については、「先見の明と不屈の精神を兼ね備えた博士の功績がようやく認識されたということだ」との感想を語った。
また、博士が研究の過程で接した不妊治療患者らと良好な関係を築いたことや、カトリック教会などからの批判に対して正面から立ち向かった点を評価する人も多い。
エドワーズ博士が研究に取り組んでいた英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のマーティン・ジョンソン(Martin Johnson)教授(生殖科学)も、博士は物議を醸しがちな研究に取り組みながらも「批判にひるむことなく正面から向き合っていた」と証言する。
また、博士の人柄について「彼には真の洞察力が備わっていた。さまざまな問題について常に時代を先取りしていた。人間的にも温厚で寛大な人だ」と賞賛。博士のノーベル賞受賞を「心から喜んでいる」と述べた後で「受賞は遅すぎたくらいだ」と付け加えた。(c)AFP
博士の受賞に大喜びしている人の中に、博士によって「世界初の体外受精児」となったルイーズ・ブラウン(Louise Brown)さんがいる。
ルイーズさんは母親のレスリー(Lesley Brown)さんとともに、「受賞は素晴らしいニュース。私たち親子は、体外受精の先駆者としての功績が認められたことをとても喜んでいます。ボブ(エドワーズ博士)と彼の家族にお祝いを申し上げます」と喜びを語っている。
ルイーズさんは1978年、体外受精を研究していたエドワーズ博士とパトリック・ステプトー(Patrick Steptoe)氏(1988年に死去)の手によって世界初の体外受精児として誕生した。ルイーズさんは現在32歳。自然妊娠で1児の母になっている。
エドワーズ博士は高齢のためインタビューに応じることができないが、代わりに報道陣に対応した夫人のルース(Ruth Edwards)さんは、受賞の栄誉に家族はみな「興奮し喜んでいる」と語った。また、博士の研究の成功は世界中の数百万人の生命に影響を与えたと述べ、各方面から批判されながらも、決意をもって粘り強く研究を続けたことが、体外受精研究の開拓者としての成功につながったとの感想を語った。
■痛烈な批判を超えて
体外で精子と受精させた卵子を再び子宮に戻すというエドワーズ博士とステプトー氏の体外受精研究は痛烈な批判にさらされてきた。批判の先頭に立ったのがローマ・カトリック教会だ。
伊ANSA通信によると、バチカン法王庁の生命アカデミー(Pontifical Academy for Life)のイグナシオ・カラスコ・デ・パウラ(Ignacio Carrasco de Paula)委員長は4日、エドワーズ博士のノーベル賞受賞を「全く理にかなわない判断だ」と評し、不快感を示した。
その一方で、当然ながらエドワーズ博士のもとには、科学界や元同僚など英国全土からあふれんばかりの祝福の声が寄せられている。
博士がケンブリッジ(Cambridge)近郊に設立したボーンホール(Bourn Hall)体外受精クリニックのチーフエグゼクティブ、マイク・マクナミー(Mike Macnamee)氏は、博士を「最も偉大な科学者の1人」と賞賛。「60年代初頭から博士が取り組んできた示唆に富んだ研究が飛躍的進歩をもたらし、数百万人の人生をより良いものにした」と語った。
■幹細胞研究や遺伝子診断にも貢献
エドワーズ博士が助けたのは不妊に悩む人々だけではない。博士の研究は科学技術研究のさまざまな分野にも貢献している。
英不妊治療医協会(British Fertility Society)のトニー・ラザフォード(Tony Rutherford)会長は、博士の対外受精研究を「ルイーズさんを誕生させた後も、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や着床前遺伝子診断(PGD)など革新的な生殖医療にも大きく貢献した」と評価する。博士の受賞については、「先見の明と不屈の精神を兼ね備えた博士の功績がようやく認識されたということだ」との感想を語った。
また、博士が研究の過程で接した不妊治療患者らと良好な関係を築いたことや、カトリック教会などからの批判に対して正面から立ち向かった点を評価する人も多い。
エドワーズ博士が研究に取り組んでいた英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のマーティン・ジョンソン(Martin Johnson)教授(生殖科学)も、博士は物議を醸しがちな研究に取り組みながらも「批判にひるむことなく正面から向き合っていた」と証言する。
また、博士の人柄について「彼には真の洞察力が備わっていた。さまざまな問題について常に時代を先取りしていた。人間的にも温厚で寛大な人だ」と賞賛。博士のノーベル賞受賞を「心から喜んでいる」と述べた後で「受賞は遅すぎたくらいだ」と付け加えた。(c)AFP