【9月20日 AFP】卵巣がんや乳がんの遺伝的な発生リスクが高い女性の特定につながる遺伝子変異を発見したとする研究結果が、19日の科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」(電子版)に掲載された。

 卵巣がんや乳がんは、自覚症状がほとんど出ないまま死に至ることもあるため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれる。

 米国、欧州、カナダ、オーストラリアの専門家たちは、がんを発症した女性にのみに認められる1文字分の遺伝子コードの違いを追究するため、女性数万人の遺伝子を調査した。

 その結果、ある研究では、ヒトの2番、3番、8番、17番、19番染色体に、深刻な卵巣がんの発生リスクを強く示唆するDNAを発見した。

 別の研究では、乳がんの原因遺伝子として知られる17番染色体のBRCA1遺伝子変異と関連して、19番染色体のDNAの変異が乳がんの発生リスクを高めることをつきとめた。

 これらの遺伝子変異が、がん発生のメカニズムにどのように機能するかは明らかになっておらず、解明にはまだ何年もかかるとみられている。

 しかし、今回の発見を含め、がんの発生リスクが高いことを示す遺伝子はこれまでに多く発見されており、研究者らは、今回の発見ががん発生リスクの高い女性を診断するための方法を新たに切り開くものと確信している。

 研究の1つを率いた米ノースカロライナ(North Carolina)州デューク大学医療センター(Duke University Medical Center)のアンドリュー・バーチャック(Andrew Berchuck)教授は、今回の発見について、「将来的には、新たに発見された遺伝子変異を持つ女性を見つけることで卵巣がん発生リスクの高い女性を特定することでき、これらの女性を対象に予防措置を講じることができるようになるかもしれない」と語った。(c)AFP