【9月2日 AFP】甘味物質であるショ糖には新生児の痛覚を抑制する効果がないとする研究結果が、2日発行の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

 医学界では2001年、一連の実験結果に基づき、侵襲的処置を施す新生児には、痛みを緩和するために口腔内にショ糖水を与えるべきだとの指針が出された。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)などの研究チームは、これを確かめるため、59人の新生児を対象に実験を行った。

 かかとに刃で傷を付けて出血させ、小型の注射器を使って片方のグループには微量のショ糖水を、もう片方のグループには微量の滅菌水を舌に垂らした。そして電極のついた帽子により脳内と脊髄における痛みの反応を調べた。

 その結果、双方のグループ間で痛みの反応の顕著な違いは認められなかった。

 つまり、ショ糖を与えても脳内または脊髄の痛み信号は軽減されず、新生児の表情が変わるだけで「痛みが緩和されている」という誤った印象を与えている可能性があるという。

 研究チームは、「ショ糖の鎮痛効果は確認されず、ショ糖の継続的な服用が将来的にどのような影響をもたらすかについても分かっていない。したがって研究が進むまでは、新生児の痛覚を抑制するためのショ糖の定期的な使用は控えるべきだ」と話している。(c)AFP