【8月29日 AFP】動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)は、大手たばこブランドと有名人やミュージシャン、スポーツ選手やアニメなどを関連づける動画が多くあり、若い人びとに喫煙を奨励する場所になっているとの研究が、26日の英専門誌「Tobacco Control」に掲載された。

 テレビやラジオ、新聞やイベントスポンサーなどにみられるたばこ広告に対する規制は、ユーチューブには無い。そのため、マールボロ(Marlboro)の有名な男性キャラクターなど、多くのたばこ関連キャラクターが登場する場所となっているという。

 研究を行ったのは、ニュージーランド、ウェリントン(Wellington)のオタゴ大学(University of Otago)の公衆衛生の研究者ら。英語の動画のうち、マールボロ、L&M、ベンソン&ヘッジズ(Benson and Hedges)、ウィンストン(Winston)、マイルドセブン(Mild Seven)の5ブランドを取り上げているものから「最も人気」ランキングを基準に163動画を選び、喫煙またはたばこのブランドが好意的に描かれているか、否定的に描かれているかなどを分析した。

■たばこ関連動画の削除を

 対象の動画の多くには、昔のテレビCMやポスターなど、現在では多くの国で違法化されたものが登場する。また、人気俳優の登場する映画の中でたばこのブランドがわかるようになっているものや、たばこがスポンサーについたスポーツイベント、1950~60年代のテレビ放送などもあった。そのうちの71%はたばこに好意的で、たばこに否定的なものは4%、どちらにも属さないものが25%だった。

 論文は、ユーチューブには誰でも匿名で動画を投稿できることもあり、たばこメーカーを直接的に非難してはいない。研究者の1人、ルーシー・エルキン(Lucy Elkin)氏は、ユーチューブが不適切な動画を削除するためのカテゴリーリストに「喫煙」を追加すれば、たばこの害の拡大防止に協力できるとしている。

 また、たばこ会社についても、「他人が投稿した動画を管理することはできないが、明らかに自社の所有物や広告の動画である場合には、著作権侵害だとしてユーチューブに削除依頼を出せば、この種の動画を除去するうえで一定の役割を果たすことができる」と語った。(c)AFP