【8月7日 AFP】「お祈り」には実際に効果がある――米インディアナ大学(Indiana University)の研究チームが、目や耳が不自由な人が複数の人に祈ってもらった場合、視力や聴力の改善に効果があったという研究結果を発表した。

 祈りの対象となる人がいる場所で、1人もしくはそれ以上の人たちが祈る「PIP (proximal intercessory prayer、近接仲介祈とう)」と呼ばれる方法で祈った。多くの場合、祈る側の人たちは対象者に物理的に触れる状態で祈ったという。

 インディアナ大で宗教学を教えるキャンディー・ギュンサー・ブラウン(Candy Gunther Brown)博士は、アフリカ南部のモザンビークの奥地で実験を行った。その結果、参加して祈ってもらった人の聴力や視力の改善に「著しい効果」があったという。

■視力、聴力の数値が改善

 参加者は、モザンビークの村や町などのキリスト教ペンテコステ派のグループの呼びかけで集まった難聴者14人と弱視者11人で、それぞれが祈りの前後に聴力や視力のテストを受けた。

 その結果、「難聴者のうち11人の18の耳で聴力が著しく向上」したという。難聴者のうち2人はそれまでより50デシベル小さい音が聞こえるようになった。また視力の改善も認められ、弱視者のうち3人は0.05以下だった視力が0.25まで上がった。

 この研究では、どのような理由で症状が改善するかというメカニズムではなく、祈りによる臨床作用が検証された。祈りの時間は1分から15分が多かったが、なかに1時間を超えるセッションもあった。祈る側の人たちは対象者の頭に触れたり、抱擁を交わしたりしながら、祈りの言葉を唱えたという。

 関節リウマチなどでは、患者の心理が大きく作用する可能性があるため、研究には客観的な測定が容易な視覚・聴覚障害者が選ばれた。モザンビークの遠隔地が選ばれた理由は、メガネや補聴器などが容易に手に入らず、視覚・聴覚障害者のためのペンテコステ派の祈りのグループの活動が活発だからだったという。

 研究結果は来月、医学誌サザン・メディカル・ジャーナル(Southern Medical JournalSMJ)に掲載される。(c)AFP/Karin Zeitvogel