【8月2日 AFP】高齢者が骨を丈夫にしようとカルシウムのサプリメントを摂取すると、心臓発作のリスクを高める可能性があるという研究結果が前月30日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」に発表された。骨粗しょう症の予防や治療法に見直しを迫る内容だ。

 カルシウムの錠剤は、骨を強化するために広く処方されているが、ニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)のイアン・リード(Ian Reid)教授率いるチームが、健康な高齢女性1万2000人を対象に行った11の臨床実験では、カルシウム剤の摂取によって、心臓発作やその他の循環器系障害の発症数が増える可能性が示された。

 この結果をさらに詳しく調べると、カルシウムのサプリメントを摂取すると心臓発作のリスクが約30%増加するという関連性が見つかった。心臓発作リスクほどではないが、脳卒中のリスクや死に至る可能性も増えていた。

 この関連性は、年齢や性別、サプリメントのブランドなどに関わらず一貫していた。

 研究チームは、個人にとって高まるリスクはわずかでも、これだけカルシウムのサプリメントが普及している現状において、人口全体が負うことになる疾病の負担は大きいと警告している。

 また、英ハル大学(University of Hull)のジョン・クレランド(John Cleland)教授らは巻頭言で、心臓発作の発生率に対する影響の有無にかかわらず、カルシウムのサプリメントを摂取しても骨の強化に劇的な効果はないだろうと指摘している。(c)AFP