【7月20日 AFP】家庭向け常備薬として米国で用いられている亜鉛を含む風邪薬が、効果がないだけでなく嗅覚障害を引き起こす恐れがあると警告する研究論文が、19日発行の米国医師会(American Medical AssociationAMA)の医学誌「Archives of Otolaryngology(耳鼻咽喉学紀要)」に掲載された。

 米国の薬局では、かぜ薬として亜鉛を含有した鼻腔用ジェルやスプレーが広く販売されている。

 だが、「Archives of Otolaryngology」誌掲載の論文によると、風邪の患者25人に関する臨床試験、生物学試験などのデータを分析したところ、亜鉛入りの風邪薬で効果が確認された例は1件だけだった。しかも、この研究は亜鉛入り風邪薬の製造元が資金を提供して行われたものだった。

 さらに、鼻腔内に投与するタイプの亜鉛入り風邪薬については、一時的な嗅覚の低下や嗅覚消失を引き起こす可能性が示唆されたという。

 これらの結果から、論文は米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)に対し、亜鉛含有の風邪薬や亜鉛を用いたホメオパシー療法に対する規制を強化するよう求めている。(c)AFP