【6月25日 AFP】国連薬物犯罪事務所(United Nations Office on Drugs and CrimeUNODC)は23日、世界で使用される麻薬の種類がコカインやアヘンから合成麻薬に移行しつつあるとの報告を発表した。

 UNODCは「世界薬物報告書(World Drug Report)」2010年版で、世界の薬物問題でこれまで2大薬物とされてきたアヘンとコカインの供給は減少傾向にあると指摘した。報告によると、過去2年間で世界のアヘンの作付面積は23%縮小。コカインやヘロインの原料で南米のアンデス(Andes)地方に集中するコカの作付面積は、過去10年間で28%縮小した。

 一方で、アンフェタミン系覚醒剤(ATS)の使用が増加傾向にあり、現在世界で3000~4000万人が使用しているとみられるという。UNODCは、ATS使用者の人数がアヘンとコカインの使用者を合計した人数をまもなく上回ると警告を発している。

「コカインやヘロインからほかの中毒物質へ渡り歩かせるだけでは、世界の麻薬問題を解決することはできない。中毒物質などはマフィアの製造所で安価なコストで製造でき、きりがない」とアントニオ・マリア・コスタ(Antonio Maria Costa)UNODC事務局長は述べた。

 UNODCは、特にアンフェタミン系覚醒剤はターゲットとなる市場に近い場所で製造されることが多いため、取引ルートが比較的短いこと、原料が合法で入手しやすいものであることなどから、取り締まりが難しいと指摘している。

 報告書はまた、発展途上国での麻薬使用が増えている点も警告した。(c)AFP