【6月3日 AFP】ホルモン補充療法と特定のライフスタイルの組み合わせが、一般的な12の遺伝子変異に関連した乳がんリスクを増大させることはないとする研究結果が2日発表された。

 ホルモン療法、アルコール摂取、肥満、第1子出産年齢の遅さといった要因は、乳がんリスクを引き上げることが知られている。乳がんの発症と弱い相関がある一般的な遺伝子変異も、多数あることがわかっている。

 従来の研究で2種類のリスク要因が重なると乳がんリスクが増大する可能性があると指摘されていたが、英オックスフォード大(University of Oxford)がこのたび行った研究は、必ずしもそうとは言えないことを示している。

 研究チームは、遺伝的な影響と非遺伝的な影響を切り離した調査を行った。閉経後の女性を中心とした1万7350人(うち7160人が乳がん経験者)を対象に、病歴を精査し、血液のDNAの中に乳がんリスクを高めることで知られる12の変異のいずれかがないかを調べた。

 さらに、10の環境的なリスク要因(月経開始年齢、月経の状態、閉経年齢、初産の年齢、出産回数、母乳で子どもを育てたか、ホルモン療法の有無、体脂肪、身長、アルコール摂取)を測定した。

 驚いたことには、遺伝子変異と行動・身体的なリスク要因の間の120通りの組み合わせすべてについて、統計上は乳がんリスクの顕著な上昇は見られなかった。

 なお、研究は、乳がんに極めて密接に結びついているものの発生頻度は極めて低い2つの遺伝子変異、BRCA1とBRCA2については考慮していない。(c)AFP