【5月20日 AFP】喫煙や飲酒、ドラッグ、無防備なセックスにオートバイでの暴走行為――思春期の若者たちがこうした危険な行為に「ハマる」と、なかなか抜け出せないのはなぜなのか。その謎に、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)のジェシカ・コーエン(Jessica Cohen)氏が主導する研究チームが迫り、脳内の快感伝達物質ドーパミンが関連しているとの結論に至った。

 研究チームは、被験者45人を8歳から12歳までの子どものグループ、14歳から19歳までの若者グループ、そして25歳から30歳までの成人グループの3グループに分けて実験を行った。コンピューター画面で画像を見せ、それぞれの画像について、架空の2大学が販売しているとしたTシャツの模様と一致するかどうかを答えてもらった。正解した場合には5セントか25セントの報酬を与えた。

 この間、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)を用いて、神経信号に対する被験者の脳血流変化などを調べた。

 その結果、10代の若者グループでは、報酬を受け取った際に、脳内の快感物質ドーパミンに反応する綿条体が明るくなることが確認された。明るさは子どもや成人グループよりも強かった。

 コーエン氏は、思春期の若者では、予想外の利益を受けたとき、脳内の神経反応がほかの世代よりも強いことが証明されたと説明した。実験ではドーパミンのレベルは測定していないが、同氏はドーパミンの影響による可能性が高いとみている。

 また、コーエン氏は、10代では脳内の綿条体は完全に発達しているが、自分の行為をコントロールする前頭葉が、まだ未発達だとする科学者らの見解を紹介したうえで、「報酬に対する反応の感度は10代の若者も成人も同じだが、成人の場合は、行動する前に再考や自制したり、責任ある行為を心がけることができる。しかし若者たちには無理なようだ」と結論付けた。

 コーエン氏らの研究結果は、科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に掲載されている。(c)AFP