【5月6日 AFP】高齢の夫婦のうち一方が認知症を患っている場合に、もう一方も認知症を発症する確率は、相手が認知症でない場合よりも平均で6倍高いという研究結果が5日、米老年医学会(AGS)誌「Journal of American Geriatric Society」に発表された。

 米ユタ州立大学(Utah State University)の研究チームは、認知症をどちらも発症していない65歳以上の夫婦1221組を対象に、健康状態を最長12年間にわたり調査した。この間に認知症と診断されたケースは、夫だけの場合は125例、妻だけの場合は70例。夫婦両方が認知症と診断されたのは30組だった。

 さまざまな影響を差し引いても、伴侶が認知症を発症した場合の認知症リスクはそうでない場合よりも、男性では約12倍、女性では3.7倍も高く、また男女別で見ると男性の方のリスクが際立つことが明らかになった。

 これまでの研究では、認知症患者を介護する人では、精神障害のない身体障害者を介護する人よりも、うつ病などの健康問題リスクが高くなるという結果が示されているが、介護者における認知症リスクに焦点を当てた研究は今回が初めて。

 研究チームは、介護者の認知症リスクが本人のストレスまたは共有環境にどの程度起因しているのか、さらなる調査が必要だと指摘している。(c)AFP