【4月15日 AFP】遺伝性先天性貧毛症(HHS)の原因遺伝子を発見したとする論文が、14日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。治療への応用が期待される。

 HHSは、幼少時から毛包が縮小を始め、髪の毛が抜けて細い「産毛」に取って代わられてしまう病気。

 米コロンビア大学メディカルセンター(Columbia University Medical Center)の研究チームは、代々HHSを発症しているパキスタンとイタリアの複数の家系でゲノムを徹底分析し、18番染色体にある遺伝子APCDD1の変異がHHSにおいて重要な役割を果たしていることを発突き止めた。

 HHS患者では、APCDD1の欠陥がWntシグナル経路と呼ばれる信号経路を阻害していたという。これは、遺伝子がタンパク質に発毛のオン・オフを指示できないことを意味している。

 研究者らは、実験用マウスで確認されていたWntシグナル経路がヒトにもあることが明らかになったことは、脱毛の原因究明における重要な一歩と位置づけられるとしている。ヒトにおいても、Wntシグナル経路を操作して毛根の成長に効果を発揮する可能性があり、しかもこれは従来の治療法とは異なり「非ホルモン療法」になりうるという。

 ただし、脱毛に悩む男性の育毛剤への応用は期待薄だそうだ。というのも、男性型脱毛症は、同じく毛包が縮小するものの脱毛の過程は複雑で、HHSとの直接比較は難しいためという。(c)AFP