【4月9日 AFP】「臨死体験」は血中の二酸化炭素(CO2)濃度が高いと起こりやすくなる可能性があるという論文が8日、スロベニアの医学専門誌「Critical Care(救命救急治療)」に発表された。

 臨死体験(Near-death experiences、NED)とは、光が見えたり、心のやすらぎや幸福感を感じたり、神と出会うなどの体験をした後で意識が戻るというもの。過去の研究では心臓発作から回復した人の11~23%が体験しているとのデータもある。

 スロベニア・マリボル大学(University of Maribor)のZalika Klemenc-Ketis氏が率いる研究チームが、3か所の大規模病院で52例の心臓発作について調査したところ、11人が臨死体験をしていた。患者の平均年齢は53歳で、42人が男性だった。

■血中CO2濃度が高いと臨死体験しやすい

 臨死体験と年齢、性別、教育水準、信仰、死に対する恐怖、回復するまでの時間、救命治療時に投与された薬品との間に関係は認められなかったが、血中の二酸化炭素濃度が高いと臨死体験をする傾向が高いことが分かった。また二酸化炭素ほど明確な相関関係ではないものの、血中のカリウム濃度が高いと臨死体験をする傾向が高まることが分かった。

 臨死体験の原因については激しい論争が繰り広げられてきた。身体的・精神的なメカニズムに根拠を求める人から、なんらかの超越的な力を指摘する人までさまざまだ。研究チームは、臨死体験は人生を変える体験になる可能性があり、その原因を突き止めるのは心臓発作を起こした人にとって重要で、結果を確認するためにはサンプル数を増やしてさらなる調査が必要だと話している。(c)AFP