【3月16日 AFP】前立腺がんの早期発見法として最も一般的なPSAprostate specific antigen、前立腺特異抗原)検査を開発した米国の教授が、この検査法の有用性は小さく保険財政を圧迫していると指摘したことで、議論が起きている。

 この意見を米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に寄せたのは、約40年前にこの検査法を開発した米アリゾナ大学(University of Arizona)のリチャード・アブリン(Richard Ablin)教授。

 米国がん協会(American Cancer SocietyACS)は、90年代から前立腺がんの標準的な検査法になっているPSA検査を推奨はしていない。前年に米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された2つの研究の予備的な結果を受け、PSAのリスクと限界について患者に説明するよう医師たちに強く呼びかけている。

 同協会によると、PSAは治療介入が必要な進行の早いがんと進行の遅い腫瘍(しゅよう)を区別することができない。後者の場合は、患者の年齢にもよるが、死因にはならない可能性がある。

 さらに、PSAでは誤診の可能性もあるという。PSAレベルは前立腺腫瘍が大きくなると跳ね上がるとされるが、患者の年齢とともに前立腺が自然に肥大した場合も値が上がるのだという。 

 アブリン教授によると、米国人男性のうち前立腺がんと診断される割合は16%だが、その大部分は進行が遅く、死に至るのはわずか3%だという。

 教授はまた、PSAの年間費用は少なくとも30億ドル(約2700億円)にのぼっていると指摘している。(c)AFP/Jean-Louis Santini