インドの代理出産ビジネス、同性愛者カップルに人気
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【3月9日 AFP】米国に住む同性愛者のブラッド・フィスター(Brad Fister)さん(29)は父親になる喜びを味わうため、地球を半周してインド南部のハイデラバード(Hyderabad)に向かった。フィスターさんはそこで初めて、代理母から前月生まれた娘を抱いた。
インドでは、代理母産業が大盛況だ。近年、低価格かつ親権に関する法律がゆるやかなインドを訪れる依頼者は、同性愛者カップルが、子どものいない異性愛者カップルを上回るようになっている。
米国では、養子や代理出産に関する法律が州によって異なるが、インドでは代理出産は合法で、規制も緩い。さらに、少なくとも現時点では、性的指向に基づいた差別はない。
フィスターさんとパートナーのマイケル・グリーブ(Michael Griebe)さんにとって、今回の選択の最大の決め手は、インドの代理母は一般的に子どもへのいかなる親権も放棄してくれるという点だった。
フィスターさんは、娘を連れて米国に帰国する直前にAFPのインタビューに応じ、「1年半前に子どもをもうけようと決めたが、米国では、代理母が親権を放棄してくれないケースが多いことが問題だった。でもここでは、すべてがシンプルだ。もう1人子どもが欲しくなったら、またここに戻ってくるよ」と語った。
フィスターさんの精子を体外受精させて産まれたこの赤ちゃんは、DNA鑑定で父親のDNAと一致することが確認され、米国のパスポートを取得することができた。
■子宮を搾取?
2人が利用したのは、インドの代理母斡旋を専門とする米シカゴ(Chicago)のSurrogacy Abroad社だった。同性愛者カップルの顧客は増加の一途をたどっている。経営者のベンフル・サムソン(Benhur Samson)氏は、現在12組のカップルの案件を処理中で、そのなかには複数の同性愛者カップルが含まれているという。
料金は、1回の妊娠につき、医療費と代理母への報酬込みで約2万ドル(約180万円)。代理母が受け取る額はおよそ8000ドル(約72万円)だ。
フィスターさんたちは1回目が流産だったため計4万ドル(約360万円)がかかったが、それでも、米国における数回分の妊娠料――10万ドル(約900万円)以上――よりもはるかに安上がりだ。
インドの体外受精専門クリニックは、子宮に対し一度に5個の胚を注入することが許可されていることもあり妊娠成功率の高さをうたっている。ほかの国々、例えば英国では、一度に2個の胚しか注入することができない。
インドのある専門家によると、南アフリカも現在、代理出産を宣伝しているが、インドは簡単な手続きと安い料金で、他国を圧倒しているという。
その一方で、代理出産を規制する法律がないため、若くて貧しいインドの女性たちの子宮が「レンタルされ、搾取されている」と警告する専門家もいる。(c)AFP/Pratap Chakravarty