【2月20日 AFP】不倫スキャンダルの渦中にいる人気プロゴルファー、タイガー・ウッズ(Tiger Woods)が治療を受けていることで話題を集めている「セックス依存症」。この問題に関心があるのはウッズだけではない。米国では最近セックス依存症に悩む人の数が増えており、その治療は一大産業になりつつあるという。

■はたして病気なのか? 

 19日に全米主要ネットワークで生中継された記者会見で、ウッズは複数の女性と関係を持っていたことについて謝罪し、45日間にわたりセックス依存症について指導を受けていたことを明らかにした。今後もリハビリを続けていく予定だという。

 だが、世間では「セックス依存症」なるものが本当に存在するのかという疑問の声もあがっている。主流の医療専門家は、セックス依存症の治療についてあまりおおっぴらには論議しない傾向にある。また米精神医学会(American Psychiatric AssociationAPA)はこの依存症を病気だとは認めていない。

■アルコール依存症と類似した治療プログラム

 とはいえ脅迫的で抑制を欠いた性行動が時に人生を破壊するのも事実だ。米ニューヨーク(New York)州知事だったエリオット・スピッツァー(Eliot Spitzer)氏は2008年、売春組織の顧客だったことが明るみに出て辞任に追い込まれた。

 セックス依存症はアルコール依存症と同じように病気なのであり、単なる「度の過ぎた女遊び」の口実ではないと主張する専門家の1人であるクレイグ・グロス(Craig Gross)医師は、想像以上に多くの人がセックス依存症に悩んでおり、最近ますます深刻化していると話す。

 ウッズが治療を受けている米ミシシッピ(Mississippi)州ハッティスバーグ(Hattiesburg)近郊の専門クリニックのような施設の場合、6週間のコースで2万~4万ドル(約180万~370万円)の治療費がかかる。セックス依存症の場合もアルコール依存症と同様、心理療法、薬物投与、グループディスカッションなど12のステップによる治療プログラムが行われる。患者の親族や親しい人が治療プログラムに参加することもある。性的衝動を抑えるための薬物のほか、抗うつ剤も使用される。

 アリゾナ(Arizona)州のある治療クリニックでは4日間で治療を終えられる集中治療プログラムを提供しているが、テキサス(Texas)州の専門医マイケル・ジョンソン(Michael Johnson)氏によれば完治するには約2年間が必要で、それ以上かかる場合もあるという。

■謝罪会見は治療に効果あり?

 一般的な依存症治療では、患者が自分の病気のことを語るのは治療プログラムの基本要素の1つとされているが、ウッズのケースは例外的だとジョンソン氏は言う。「セックス依存症の治療の一環として公の場で謝罪した患者の話は、これまで一度も聞いたことがない」

 一方、前述のグロス氏は「ウッズの声明から彼がさまざまなことを学んだことがはっきりと分かる。内容に信ぴょう性があるし、あれは本心から話した言葉だった」とコメントし、ウッズの謝罪会見は成功だったと話している。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa

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