【2月4日 AFP】米国で男性からの性転換手術を受けた女性が、手術費を税控除対象に含めるよう求めていた裁判で、米租税裁判所は2日、女性の訴えを認め、性転換手術費は医療費として税控除対象になるとの裁定を下した。

 この女性(65)は2001年に2万5000ドル(約230万円)の性転換手術を受け、5000ドル(約45万円)の控除を申請したが、内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)に却下され、訴訟を起こした。

 同性愛者の権利擁護団体「ゲイ・アンド・レズビアン・アドボケーツ・アンド・ディフェンダーズ(Gay and Lesbian Advocates and DefendersGLAD)」は女性の訴訟を支持し、個人加入の健康保険が手術費を完全にカバーしない場合には、IRSが対象としている化学療法などと同様の税控除が適用されるべきだとの見解を表明した。

 これに対し税当局は、この女性の手術は純粋に「美容上」のものであり、控除は適用されないと反論していたが、租税裁判所は「申立人が性同一性障害 (GID)に苦しんでいたことは証拠から明らかであり、GIDが重大な精神疾患であることはよく認知されている。またホルモン療法や性転換手術は適切で効果的なGIDの治療法であることも認識されている」とし、税当局側の主張を却下した。

 女性を支援したGLADのスタッフは「連邦全体に司法権をもつ裁判所がこうした判断に達した例は初めて」と歓迎している。(c)AFP